タイガー&ドラゴン「茶の湯」

見ました!どうもありがとうございます!(私信)
さて、出てきましたねー荒川良々。「志の輔*1談志も小朝も弟子に欲しがったのに」ってのがウケました。それでどん兵衛のもとに弟子入り志願した理由が「一番キャラがかぶらないから」って・・・。志の輔師匠とだってちくともかぶってなかろうよ*2
今回はこう・・・すごく、メッセージ性の強い内容でしたね。表現者の苦悩をテーマにしていて。「脚本家・宮藤官九郎の声として」みたいなことをきっとたくさんの方が感想に書いているかと思いますが私もそんなことを書きたいです。 自分が作りたいと思うものと世間の評価との揺らぎとか、無責任な言葉に踊らされているものづくりの立場とか、宮藤さんはときどきこうやって作り手の弱い部分をドラマのセリフに織り交ぜてきますよね*3。それがたびたび活かされているということは、ドラマ制作スタッフとの信頼関係も厚いということなのかな。
なんだか、あれを思い出しました、『ラヂオの時間 [DVD]』。ラジオディレクター(西村雅彦)が主婦の素人作家(鈴木京香)に「いつも納得できる放送がつくれるわけじゃない」「納得いかないものでも自分の名前を抜くわけにいかない」というような説得をしている場面がありましたよね。あの作品、もとは東京サンシャインボーイズの舞台に書いたそうですが、当時の三谷さんは『振り返れば奴がいる』で初めてテレビの連続ドラマの脚本を任されて、だけど(テレビドラマ脚本家として)キャリアのない人間の主張が通るわけもなく、「これはもはや自分の作品ではない」と思えるところまで手直しされて、それでもクレジットに自分の名前が打ち出されるのがつらかった、という思いから『ラヂオの時間』を書いた・・・というエピソードを聞いたことがあります。
そういえば宮藤さんも三谷さんも舞台をhomeとする人ですね。舞台だってそれなりの制約はあるわけですけれども、作品を作り上げていく場や観客が受信する場に立ち会ってるぶん「自分の知らないあいだに・・・」ということはめったにないと思うんですよ。演出も制作も衣装も照明も音響も大道具も役者も観客も、本当に本当に時間と温度を共有しているから、パンフレットに載った自分の名前に実感できるというか。
ええと・・・私はなにを書きたいんだろうな。別に「だから舞台のほうがテレビドラマよりも良質だ」と言いたいんじゃなくて。 ただ、テレビドラマ制作における、発信してからカタチになり受信されるまでのタイムラグや、自分の意志の伝わらない距離の人も制作に携わっているという状況が、ピュアで不器用な舞台人*4にはすぐに適応できなくていろいろ悩んだんだなー、と思っただけでした。まぁ、あの、宮藤さんと三谷さん、自分の好きな脚本家2人が映像作品で同様の思いを託しているのが嬉しかったということです。よくわかんなくっちゃったのでこれでおしまい。


というわけで見られて良かったです。どうもありがとうございました。

  • 追記

4月30日発売の『H』は「『タイガー&ドラゴン』全36ページ特集!」なんだそうです。ひー!
http://www.rock-net.jp/h/index.html
ドラゴンソーダ特製ステッカー!ひー!

*1:志の輔じゃなかった。どこで志の輔のイメージがついたんだろう・・・

*2:小朝師匠は少し似てるかも。肌つやの良さとか

*3:他に自分の記憶では『ぼくの魔法使い(asin:B0000AVTJW)』でも。舞台脚本家(及川光博)が、ある新人漫画家(奥貫薫)の作品を盗作したら、その漫画家が自分の舞台を毎公演観にきて毎回アンケートを記名ありの白紙回答で出していき、彼女の存在に怯える・・・というシーンが。白紙のアンケートが怖い、って舞台人ならではだなーと思いました

*4:私の勝手なイメージです