- 作者: よしながふみ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2003/12/19
- メディア: コミック
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ところで、作品内容とは関係ない話を1つ。
主婦が2人
先日、実家でご飯を食べているときに母が、伯父(=母の兄)の家からお嫁さんが出て行ってしまった(=その家の息子が離婚した)という話をしていた。無論、父も私もそんな話にはまったく興味がない。 原因は、その家の姑が頑なで、嫁に居場所を与えなかったからなんだと。ありがちな話だ。興味がない。
ただそこで母がぽつりと、
「主婦が1つの家に2人いることのほうが難しいのよねぇ」
その言葉だけが頭に残っている。
どういう意味だろう。
わかりそうで、言葉にできない。
それで、感想
↑の話は、この漫画を読んでいて思い出したこと。でも作品とはまったく関係ありません。
で。まず注目していたのが、ご飯のシーン。もちろん『愛がなくても喰ってゆけます。』からよしなが道が始まった(大げさ)私だからだ。
面白いほどに食卓、レストラン、ラーメン屋といったシーンが出てくる。やっぱり人と人が自分の話をし、相手の話を聞くのに一番自然なのは食事の場だからなのかな。
笑ったのが、第2話でみんなが囲んでいる食卓のメニューがコマ外に書き出されているところ。「筑前煮 いわしパン粉焼き えのきとほうれん草のおひたし と、豆ごはん」って、向田邦子のドラマみたいだ*1(笑)。
その、特別じゃない食卓のメニューをわざわざ書くことで、その食卓を囲む人物の関係性や距離がわかるというか。や、そこまで勝手に深読みするとかえって失礼だろうかしら。単によしながさんの食へのこだわりかもしれないし。
でも、向田邦子もそうだけど、食べ物をおいしそうに描ける作家って、人間の、女の、弱くて強く生きているところを肯定も否定もせず描けるんだなぁと。向田作品もよしなが作品もろくに知らないくせに、そう言いたくなる感じでした。
牧村似の同級生
そうそう、第4話に出てきた牧村という女の子がね、私の高校生のときの友達に少し似ていて、胸がぎゅうっとなったな。
その友だちは片親で、だからなのか同い年の私よりもずっと社会に出ることについて積極的で、挑戦的な顔つきの美人で、「自分は理系に進む。そのほうが高く買われるから」ということを1年生の頃によく言っていたの。「すごいなぁ、よく考えているなぁ」とぼんやりした私は素直に彼女を尊敬していた。彼女は自分の計画と行動のひとつひとつにちゃんと理由があるようだった。3年間、私は勝手に尊敬しつづけていた。
それで言葉どおり彼女は勉強をがんばっていたのだけど、受験時、目標に届くには少しだけ足りなかったらしく、そしたらなぜか某お坊ちゃまお嬢ちゃま大学の文学部哲学科に進むことになり、そして卒業後、古着屋の店員になったんだそうな。
それを聞いて、私はがっかりした。本当に勝手で失礼な話だ。古着屋の店員だって立派な職業だ。
でも、なんでか、「古着っていっても、ブランドなんかも扱ってるから」という彼女の声を聞いているのがつらかった。
私は牧村に「まだ子どもだね」と言われる。
娘に
これを読むとさすがに、それでもキラキラした結婚生活を描きつづける夢力はなくなるけど、でも、私も、結婚をして子どもを産むなら娘が欲しいな、と思った。
それで、彼女と話していきたいことがたくさんある。
でもケンカもたくさんしよう。
だって大切だから、真剣だから、ぶつかるよ。
女と女だし。
母親になるの、大変だけど、楽しみだ。
娘に生まれてよかった。