2020/04/06

在宅勤務が始まった。通勤時間だった片道約1時間を、洗濯物を干したりベランダの植木に水をやったり新聞を読んだりしてすごす。

もとから自由な時間に出勤していた夫は、いつもならわたしが家を出たあとゆっくりとひとりの時間をくつろいでいたようだが、家の中で誰かが仕事をするとなると落ち着かないのだろう、丁寧な朝ごはんを用意してくれた。Twitterで話題になっていたサーモンの塩昆布和え丼と、新じゃが新玉ねぎのみそ汁。朝から豪勢だ。感動してかっこむ。ふたり食べ終え、夫は出勤していった。

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在宅勤務は、電話会議で朝会と夕会をおこない、出退勤および昼休憩のはじめとおわりをチャットで報告する、というルールが設けられている。朝会で決めたタスクに対し夕会で進捗を報告しなければいけないので、それを思うと意外と職場にいるときよりもまじめに働いた。

初めて自宅での昼休みを迎える。朝食をしっかり食べたので腹はすいておらず。"在宅"を最大限に味わいたくて、掃除機かけと洗濯物とりこみ、本日2度めの洗濯、切り花の水揚げなどをせっせとやって家事で休憩を時間いっぱいに使った。きのうおとといの土日48時間ではほとんどなにもしなかったのに。

終業時間を迎え、そのままアーと声を出しながらうしろに倒れて大の字になる。そして後転して立ちあがり、ベランダに出て洗濯物をとりこんだ。在宅勤務、最高。この禍がおさまっても続けたい。

 

夕飯はポテトサラダとハンバーグ。レーベンブロイを半分ずつ。

 

21時半ごろ母から電話。母はもしもしのあとすぐに「もうわたし、言っちゃうけど、」と前置きして何か言おうとするので、すわ感染か、と身がまえて聞くと、「××××(数字)、これ暗証番号だから」と彼女の預金口座の暗証番号を告げてきた。もし感染したらそのまま連絡がとれなくなるかもしれないから、教えておくなら今だと思った、とのこと。父も母も元気にしているらしい。おととい投函したわたしの絵はがきが届いたようで、30年前の長崎旅行の思い出を母は手短に話して電話は切れた。

2020/04/05

午後から降るとの予報で、昼前に食料買いだしをかねた散歩。緑道公園と川沿いがつながるルートを3kmほど歩く。これから散歩はこのコースにしようと決める。

 

スーパーで800gの合挽肉をカゴに入れていた夫は、帰宅し手洗いうがいをすませるとすぐにそのまま料理を始めた。わたしがとりこんだ洗濯物の山をのろのろと畳んで減らしているうちに、台所にはハンバーグの山ができていた。いつも漫画みたいにどっさりハンバーグを作る人だ。(皿にどっさり積まれたハンバーグを、ひょいぱくひょいぱくとスナックのように食べるシーンのある漫画の記憶があるのだが、それがなんだったか思いだせない。『ドラえもん』かな?とも思うが、それはバイバインの回の栗まんじゅうの山とまちがえている気もする)

 

14時からZoomで公開句会ライブ『東京マッハ』が開催されるというので選句をすませる。距離をとったり手洗いしたりしている俳句がならんでいた。志村けんを偲ぶ句もある。

https://note.com/tokyomach/n/nd6277c156e64

でもそういう句を、おもしろいとは思っても「いいね」と選ぶ気持ちに今はなれなくて、本来なら今年も新しい靴であちこちでかけて後悔していたであろう春を浮かべてこの句を特選にした。

くつずれでもはやこれまで蝶の昼

参加しようとすると、定員100人超えで入れなかった(本来は500人定員のプランを使ってるはずだがなぜか適用されてない、と運営側の人がツイートしていた)。急遽インスタライブでも配信するというので、Instagramのアプリを入れていなかったわたしは慌ててインストールを試みたが、なかなかインストールが完了しない。あきらめて同時刻に開催されているスラッシュパイルの有料配信ライブ『天才の名言』を観た。

 

『天才の名言』はとにかくすばらしかった。ものまね芸人の原口あきまささんが 石橋貴明千原ジュニア明石家さんま(="天才"たち) をそれぞれ30分ぐらいずつ演じつづけ、パネラーがそれぞれの"天才"たちが言いそうな、あるいは言わせたい名言を考えて原口さんに言ってもらう。MCは山里さん、パネラーはハリセンボンはるかさん、東京03豊本さん、トリプルファイヤー吉田さん、ずん飯尾さん。現地に集まる方式のライブだったらチケット取れなかったろうなという豪華な面々。

 

原口さんは冒頭は素の状態で出てくるがすぐにひっこんで、メガネをかけ肩をすぼませるようにして改めて登場したその瞬間から、声を発さずとも完全に石橋貴明で、会場の空気がピリついたのがわかった。そこからずっと、パネラーのシンキングタイムもずっとタカさんらしいしょうもない話やイジりをふりまき、山ちゃんたちもそれをタカさん本人に対するのと同じ緊張感を持って応じる。そういうのが千原ジュニア明石家さんまとつづく。はるかさんは終盤になって「特番の収録3本やってる気分」とつぶやいていた。

 

原口さんのものまねをより"本人"に仕立てた要素として、その彼らとの共演経験が多い飯尾さんと山里さんによる"後輩芸人"としてのうろたえやアシストもすさまじかった。下北沢の地下の全面黒い壁のライブスタジオも、だんだん、テレビ局のきらびやかなセットに見えてくる。

 

今のところこの中では明石家さんまという人に一番遠いであろうトリプルファイヤー吉田さんも、さんまさんと共演したらきっとこういうイジられかた(気に入られかた)をするのだろうという納得のくだりがあったし、その吉田さんが書いた"本人が言いそうなセリフ"は、明石家さんまを憑依させている原口さんにとっては核心をついていると思えたらしく「これ、他でも言うてええ?」とセリフをもらっていた。

 

ダレる瞬間がまったくなく、ずっと驚嘆か緊張か爆笑をしている2時間のお笑いライブだった。すべての演目を終えて最後に素の原口さんどうぞ、と呼ばれたとき原口さんはものまねで登場する時よりも少し時間を要した。いわく「声が迷子になった」「自分の話し方がわからなくなった」とのことだった。

 

ライブにあまりに感動してわたしはライブ終了後にスラッシュパイルのnoteにかけこみ、本来のライブのチケット代金を投げ銭し、今見たライブのアーカイブをまたはじめから見た。

 

そうしているうちにTLのようすから『東京マッハ』のほうも終わったことがわかり、ハッシュタグをたどると句の作者もちらほらとわかった。

 

くつずれでもはやこれまで蝶の昼   藤野可織

 

2020/04/04

中止公演の払い戻しの中で、チケットよしもとのスマートさに感心した。クレカ決済で未発券なら、先方が一律クレカ決済取消処理をするので購入者は何もしなくて良いという(例外の公演もあるかも)。主催者とチケット販売者が同じだからできることなんだろう。

今日から原則外出しない生活が始まる。朝4時に起きて、中止公演のチケット払い戻し手続きを消化。その事務作業の流れで親に近況報告のはがきを書く。チューリップ畑の写真に"HOLAND"という文字が入った絵はがきを使った。小学生のころに連れられていった長崎ハウステンボスで買ってもらったものだ。

朝からTシャツ1枚ですごせるほどの陽気。自宅ベランダ前の桜がようやく満開になった。ベランダ前の桜は東京の標準の桜より毎年1週間ほど遅れて満開になるのだが、今年はあいだに雪をはさんだからか2週間遅れになった。2週間前の3連休、ずっと昔のことのようだ。きょうは朝昼晩の3食をベランダで食べるよ、と夫に告げる。

今の部屋に住み始めてからこの春で丸4年となる。古い3階建ての3階で、エレベーターはなく、間取りもへんで住むのに工夫がいる部屋だが(無用扉がある。棚でふさいでいる)、南向きのベランダがまあまあ広く、その目の前に大きな桜の木が1本ある(我が家と西側のお隣さんのベランダだけがこの桜に面していて、それ以外の部屋からは一部しか見えないと思われる)。建物の古さや間取りからくる不便さでたまに引っ越したい発作に見舞われるが、物件情報をあれこれ見ているうちに「でもここほど絶好の花見席のある物件、そうそう出会えないよな……」と思い至り、おとなしくブラウザを閉じる、までがセットになっている。

今の物件を内見したのは4年前の2月上旬だ。建物の古さや間取りのアンバランスさに「ここもナシか」と思いかけつつベランダに出たところ、目の前の大木の裸の枝先に赤みがあることに気づいて、この木はソメイヨシノではないか?と(当時は結婚前の)夫に話した。

中学校の国語の教科書にのっていた文章に「えもいわれぬ美しい桜色の着物があり、これは何で染めたのかと染色家にきくと、"花が咲く前の桜の皮で染めた"という。花びらのピンクは樹木全体でつくられた色なのだ」という内容があって、それを人生の折々で思いだすのだが、ベランダの手すりにむかってのびる、赤みをもった枝を見た時にもそれが浮かんだのだ。(いま調べたらその文章とは大岡信『言葉の力』という有名な文章だった)

自分は一本道でも迷子になるし電車も「これは行き先がちがうから乗ってはダメ」と指さし確認した車両のドアがあいたとたん無意識に乗ってしまうような人間で、知らない土地では完全に無能なのだが、2月の木を見てそれが桜だと気づき、それで住むと決められる勢いみたいなものにはわりと生きていくうえで助けられてるかもしれない。

朝食は花見パンケーキとしゃれこんだ。クリームチーズと、2月はじめの松本旅行で買ったレモンジャムをたっぷりのせる。春とともにそれらを堪能するつもりが、日差しが容赦なく、まぶしさを避けるために南に(桜に)背を向け、さっさと食事を終わらせた。

午前中に生花が届く。午後よりフラワースクールのオンライン授業があり、それに間に合うように花材を送ってくれたのだ。できるだけいつもどおりにするために、大変な労力をかけて下さったのだなあと恐縮する。さいきんことあるごとに恐縮してしまう。

授業はZoomというアプリを用いておこなわれた。スクールからメールでZoom会議室のリンクが送られてきて、それをクリックすると自動的にアプリインストールされ、すぐ会議室に案内される。会議に参加する時は適当なニックネームとメールアドレスを入力するだけで良い。自分であらかじめアプリインストールをしておいたりアカウントを作っておく必要がない。少し前からTwitterのタイムラインで「Zoomで会議した」「Zoom飲み会やった」と見かけていて、テレビ会議アプリなんて昔からいろいろあるのにどうしてみんなここに来てZoom、Zoom、Zoom、とマツダみたいになってるのかと不思議に思ってたが、この準備の要らなさ。これは広まるわけだ。

スクールと生徒お互いの不慣れにより、授業はいつもどおり受けられたとはいえないが、初めての今回に関していえば、教室のメンバーがつどって顔と花を見ながら会話できたということだけで充分だった。


昼食とも夕食ともつかない15時すぎにレトルトカレー。外が急に冷えてきたので、もうふつうに家の中で食べた。