「クリボーのほうがびっくりしてたで?」

電池を入れ替えたのだがまだ時計が逆回転している。もう寿命なのかしら。

在宅勤務。背後で出社の準備をしている夫。荷物がシャカシャカ鳴っている。マラカスだ。今夜はバンドの練習と言ってたのを思いだす。夫はドラム担当なのだが、曲によってはマラカスも振るらしい。「おみやげ頼むよ」と言って見送った。バンド練習の帰りはいつも鶯谷の「食堂おぼろ」で飲むらしく、わたしもその店のごはんが好きなので必ずなにかテイクアウトしてきてもらっている。好きな店のおみやげがあるので、わたしも夫のバンド練習の日がたのしみなのだった。

ちょうど家の食材の切れめで、休憩もじゅうぶんにとれない忙しさだった。米を炊いて食べる余裕がなく、13時頃にトースト1枚をかじりインスタントのコーンスープを流しこむ。他にすぐに食べられるものはお菓子ぐらいしかない。まあいつも食べすぎだからいいか、と温かい烏龍茶をがぶがぶ飲んで腹をふくらませてまぎらわしたがやはりすぐおなかがすいてきて、なんかないかと台所にいき、なんもないんだったと戻ってくるのを2度やった。しかし17時頃にはもう限界に。台所から開封済でクリップ留めしてあるお菓子をあつめてきて仕事机の横に積んだ。いま未開封に手をつけたら1袋ぜんぶ食べてしまうおそれから、わずかな理性で、開封済のお菓子だけを選んだ。理性で選んだそれらを片っぱしから食べていく。かっぱえびせん梅味。止まらない。しょうゆせんべい。まだいける。麦のポン菓子。しかしポン菓子をざらざらと食べていて、そのエサ感に急に我に返り、もうすぐ退勤なのに42歳にもなって夕飯前にこんなもので腹をふくらませてしまい……と情けなくなってそこでやめた。

18時に退勤して、炊飯器に米と昆布と冷凍塩鯖を放りこみ、浸水も待たずにすぐ炊飯ボタンを押す。あとはこれに、残ってる小松菜で味噌汁でもつくればいいや。

炊けるのを待つあいだにきょうの『ラヴィット!』を。令和ロマンが出ていたそうなので早く見たかった。オープニングコーナーではファミコン『スーパーマリオブラザーズ2』1-1のタイムを競うことに。その挑戦者の1人であるギャル曽根さんが、自分はぜったいに負けない、この1週間で1000回は練習したと意気込んで、わたしのベストポジションはここなのと挑戦者席から立ってゲームモニターへ顔をつけるぐらい近づく。椅子に座りなさい、みんな同じ条件でやろうよとMC川島さんに席へ連れ戻されたりして、始まる前から荒ぶっている。しかしいざ始まればギャル曽根さんは最初のクリボーに突進して即終了。「クリボーのほうがびっくりしてたで?」と川島さんはじめ十数人いる共演者たちが腹を抱えて笑う中で、ギャル曽根さんは退かず、もっかい挑戦させて、お願いしますと土下座しまくる。だめです他の挑戦者の時間がなくなると川島さんにいなされ、番組は進み優勝は他の人に決まるも、ギャル曽根さんはまだあきらめずに土下座をして再挑戦を頼みこむ。生放送で時間がないからもうだめ、とあしらわれると、うなだれて席に戻ったギャル曽根さんは自前のNintendo Switchを取りだし堂々とゲームを始めようとする。気づいたMC川島さんに何しとんねんと授業中みたいにSwitchを取り上げられていた。彼女の何もかもが最高だった。

お知らせ(2025年2月記載)

2024年1月〜3月にかよった日記のワークショップ(主催:日記屋月日/ファシリテーター:古賀及子さん)で書いていた日記から数日をえらんで、ワークショップで出会った人たちと一緒にZINEにしました。
タイトルは『日記ワークショップ日記 かくよむはなすのさんかげつ』です。
この2024/2/8の日記は収録されていませんが、わたしの日記はだいたいこんな感じです。各人の日記のほか、日記ワークショップに参加してみてどうだったか、という受講者たちの座談会も収録しています。
現在は日記屋月日さん(下北沢)の店頭か、↑の日記にも出てくる食堂おぼろさん(鶯谷)にてお求めいただけます。


※他の場所での頒布も計画中です。決まりましたらまたお知らせします。