『コーヒー&シガレッツ』

昨晩はシネセゾン渋谷のレイトショーで『コーヒー&シガレッツ』を観てきました。

コーヒー&シガレッツ

http://coffee-c.com/

非常に面白かったです。11本の、コーヒーとタバコにまつわるショートストーリー集。それぞれの作品が10分前後なので、コント慣れした 集中力の続かない自分には大変見やすかったです。
いずれの作品も「フフフ・・・」な笑いあり。コーヒーとタバコという、くつろぎのアイテムがテーマだから、ドラマティックなことは一切起こらない。 しかもちょっと気まずい時間でもある、というのが面白かったです。その気まずさが傍観者(=映画の観客)にとって面白いという。
私はコーヒーはよく飲むけれども、タバコはこの23年の中で1度も吸ったことがありません。 家族が誰も吸わないから覚える機会がなかった、と学生の頃は思っていたのですが、最近はそれよりも、思春期に「吸ってみようよ」と誘ってくれるような、背伸びしたがり屋の友だちが周りにいなかったというほうが理由として大きいかも、と思えてきました。つまり放課後の秘密を共有する友だちがいなかった、ということなんですけど。てへ☆*1
で、タバコを知らない私がこの映画を観ていて思い出したのは、昔、さくらももこがタバコのすばらしさについて書いていた文章。 「タバコを吸うと気分がリフレッシュするし、何より間(ま)が持つのがすばらしい。 たとえば、人を待っているときに、何もせずに待っていると “ただそこにいる人”になってしまうが、ここでタバコを吸うことにより、一瞬で “タバコを吸う人” になることができる」という内容で、細かい表現は違うかもだけど、たしかこんな感じでした。 私はこれを読んだ当時、「だからなんなんだよ(笑)」と、さくらももこお得意の“くだらないことへのわけのわからないこだわり”という面白さだと思って通り過ぎていたんですね。 えーと、たぶん『さくら日和』か『ももこのおもしろ健康手帖』だったかな、ちょっと さくらももこ関連は実家にごっそり置いてきてしまったのでわからないんですが、彼女が離婚直後に出した本には違いない、はず、です。なぜなら彼女の元夫は嫌煙家だった(か、女性がタバコを吸うのを嫌ってたか)という理由で結婚中のさくらももこはタバコを我慢していた、と聞いたことがあるので。噂なんでアレですけど。
むむ、ヒトサマの離婚にまつわる噂はどうでもいいんですよ。閑話休題。 でね、昨晩この映画を観て、さくらももこが語った “ 間(ま)を持たせること ” がいかに大人の生活において重要であるか、の意味がわかった気がしまして。 作品中の人物たちは誰も、ハッピーやラッキーが溢れる会話なんかしてなくて、それよりも、どこか噛み合わない、でも機嫌を悪くして立ち上がるほどでもない、答えを必要としていない、どうでもいい、なんとなーく気まずい会話を続けているわけ。言葉が続かなければ、コーヒーを口に流し込んだり、煙の行方を目で追ったりして。 それで話題探しに最近凝ってる趣味の話とか出したりするんだけど、「ふーん」で流れちゃうみたいな、さ。 そういう生産性のない贅沢な時間に覚えがある、という人なら、きっと楽しめる映画だと思います。


海外情報に疎く、映画もあまり観ない私は、恥ずかしながらこの映画の監督も出演者たちもすべて「あ・・・名前は聞いたこと・・・ある・・・ケド」という状態で観たのだけど、そんなことはまったく気になりませんでした。ストーリーが面白いから。 でも、彼らに詳しければもっと楽しめたかも?というところも一部あったので、パッケージになるのを期待しつつ、それまでに勉強しておきたいです。
ちなみに上映館であるシネセゾン渋谷・銀座テアトルはいずれも、毎週水曜のサービスデー、男女ともに1000円で観られます。都合のつく方はサービスデーに観るのをオススメします。ホント、1000円でこの映画を観るということに、「一服」という感覚がよく似合うと思ったので。 もちろん、通常代金で観てもおつりがくるほど面白いです。あと上映期間も6月中旬までらしいので、お急ぎください。
シネセゾン渋谷は現在、モーニングショーとレイトショーのみですが、個人的な趣味と都合でいえば夜に観るのがいいかも。この映画を観た直後にまぶしい太陽を仰ぐ気にはなれないもの(笑)。 レイトショーは21時20分から予告編ありで上映されるので、仕事後、夕食後の一服、にも。

*1:星を散りばめてみても拭えないなにかがある