江戸むらさき単独ライブ『B.M.W』

  • 9/12(日)18:30〜/新宿SPACE107
  1. ショートコント NEW
  2. ショートコント BEST
  3. 【映像】コージの辛口ファッションチェック<代官山編>
  4. ショートコント 教室
  5. ショートコント 交番
  6. ショートコント M
  7. 【映像】磯山ふとしのおいしん坊!万才
  8. ショートコント WORST
  9. 【映像】コージの辛口ファッションチェック<原宿編>
  10. ショートコント NEW
  11. 【映像】磯山ふとしのおいしん坊!万才<麺'sクラブ編>
  12. ショートコント BEST

4000人規模のNHKホールを出て、15分後には席数180の新宿SPACE107へ。しかも1人客だったということもあって、最前列ベンチシートの隙間にねじこませてもらった。手を伸ばせば届くよこりゃ。
観る前の予想・期待・不安としては「まさか90分強、ショートコントを続けるわけにもいくまい」「何か他の手法でも挑戦するんだろうか」という思いだったのだけれど、幕が開き本人たちが登場して挨拶、のあとすぐに「江戸むらさきのっ」「ショートコント!」。えっもう!? そこから90分、ショートコントづくし。計191本。

  • ショートコント

「NEW」は新作集、「BEST」はテレビでに何度か目にしたような確実に笑えるor無難に楽しいコント集、「教室」「交番」は珍しくセットを使ったコンセプトコント集、「M」はとにかくマゾオチ*1、そして「WORST」は"テレビ番組のネタ見せでボツをくらったという"下ネタ・ナンセンス・ブラック・バイオレンスなコント集。 「WORST」って言ったって、まぁあの江戸むらさきのことですから、退(ひ)くほどギリヤバな笑いではないですよ。たとえば受験勉強する息子のもとへ母親が夜食を持ってきて「はい、ごはんと・・・エロ本」「そっちのおかず!?」とか、かわいらしいやつです。この例がかわいらしいかどうかは別として。
マゾオチを集めたショートコント「M」での磯山さんの衣装がすごくて、黒地に無数の花が散りばめられたピチピチツルツルサテンシャツ&真っ赤なピチピチモコモココーデュロイパンツという上下。登場するなり客席からは「ぅわー・・・」という声が漏れていた。 ネタは、いろんなシチュエーションで磯山が痛い目に遭うのだけど、磯山は痛がらず恍惚の表情になってピンク照明に切り替わるというオチ。それが数本繰り返される。このおバカで単純な構成が好きだなー。

  • 映像ネタ

「コージの辛口ファッションチェック」は、ピーコよろしく野村浩二がワイプの中から街の女の子たちに悪態をつくというもの。でも基本的に「明るい色にしなさいよ」「赤とか黄色とかがいいんじゃない?」「このスタイルで子持ちだなんて逆に信用できないわ」などと、あまり具体的なファッションアドバイスはしてない様子。それでさんざんチェックし終わったあとにワイプ画面が大きくなり、全身映った野村浩二はだらしないTシャツ&パンツにキャップをかぶっているだけ。隣にいた相方に「お前が言うな」と頭をはたかれる、というオチ。野村のオカマ口調とベタなオチを楽しむネタ、だったのかな?(誰に訊いてんだ)
また「磯山ふとしのおいしん坊!万才」は、レポーターの磯山が創作料理の店で出された料理すべてにマヨネーズ・ケチャップ・焼きそば&ソースをぶっかけて「うん、イケますね」とほおばる、それを見ている店主(野村)のせつなそうな顔・・・という、これもベタネタ。しかしこれは後編に続く前フリだったらしく、後編ではご存知、麺'sクラブを磯山ふとしが訪ねるといった体(てい)。はじめはレポーターも店主も江戸むらさきの磯山・野村だったのだけど、ふと磯山が店自慢の"江戸むらーめん"にマヨネーズをかけるその手にカメラが寄ったかと思うと、次の画面ではなんと2人のお父さんがそのままコントを続けている。オモシロというよりは微笑ましい系の笑い。


エンディングトークでは「今年の流行語大賞にぜひ『スーパーボール!』を」という話題。勢いあっていいけど、使う場がないね。そんな江戸むらさきイチオシのスーパーボールは、このライブのおみやげとしても配られました。 また「単独ライブ開催にあたって、このたび正式に桃屋さんへ"江戸むらさき"を使用している旨を挨拶したら、逆にむこうからお礼を言われた」んだそうで、「桃屋さんのご厚意により、ライブのおみやげ用に"桃屋江戸むらさき"をいただきました」とのこと。すごい、食品会社がバックについてる芸人なんてそうそういないよね。
ライブの最後は「じゃあ、みんな揃って『スーパーボール!』をやろう」という流れになり*2、忍者ネタ*3のオチ「スーパーボール!」に続いてお客さんも「スーパーボール!」と言ってください、との案内。なんだそりゃ、と思いながらネタが始まり、そして江戸むらさきのネタの中で「スーパーボール!」が叫ばれると・・・・・・ドドドドドドドッ、と、雹(ひょう)のように数百個のスーパーボールが江戸むらさきの頭上から落ちてきて、会場じゅう「!?」。 最前列の私の頭にもポコポコと当たっていって恐オモロかった。これは江戸むらさき本人たちも知らされていないドッキリだったらしいのだけど、まぁなんともかわいらしいドッキリであることよ。 ライブが終わると、数人の観客がステージに上がってこのスーパーボールを拾い集めていた。私も足もとに転がっていたのを数個。


「ショートコントって、クラスにいるちょっと面白いこと好きの男子が遊び半分で作れそうな印象があるからネタとして高く評価できない」という意見を聞いたことがあるけど、おふざけで191本かまさないだろうなぁ、クラスの男子は。しかもその191本をむやみに並べているんじゃなくて、しっかりと関連性・ストーリー性を持たせてるあたりがやはりお金をもらっている職人であるところ。 でもその職人技に「どうだ!」という気迫はなく、むしろ「おっかしくておかしくてしょうがないよー」「もっかいやろうぜ、もっとやろうぜ」という、まるで"箸が転がってもおかしい年頃"のように嬉々として続けるから、観ている側も「あはは、もっとやって、もっとやってー!」と同じノリで90分を乗り越えてしまった感じ。深み・重みを見せない演出努力というか、彼らの人の好さというか。
そしてこうやってウダウダと彼らについて語ろうとすることは、彼らのショートコントへの評価方法としてふさわしくないと思うのね。だからこれでおしまい。江戸むらさきが面白くて魅力的な芸人だってこと、知ってる人は知ってるもん。

*1:そんな分野あるか

*2:いま考えると無理な流れだ

*3:追われた忍者・磯山が、煙玉を打つフリしてスーパーボールを叩きつけるというネタ