映画の撮影中とかでお休みの井筒監督の代わりに「こちトラ自腹じゃ！」を担当した漫画家の江川達也氏。先週の放送でＭＣを担当した江川さんが「『キル・ビルvol.2』観たいなー」とつぶやいてたから自腹担当になったのかな？ でも江川さんの鑑賞の姿勢は非常に印象が好かった。今後も江川さんがちょくちょく出てくるといいな。
江川さんは映画監督ではないから、井筒監督のそれよりももっとお気楽に観られたんだろうけど、それでも表現者として観るところは観ていて、全肯定もせず、しかし気になった部分を否定するわけでもなく「自分ならこうする」「あの役者のことがもっと知りたい」と展開させていた*1のがエンターテイメントをわかってる人の言葉だと感じた。
自腹ＶＴＲが終わってスタジオに戻ってからも、江川さんを含め『キル・ビルvol.2』を観た出演者たちがアレコレと熱っぽく語っていたのだけど、最後は「観終わった後にこれだけ語りたくなるような映画を作ったタランティーノはすごい」みたいなまとめ方をしていて心地良かったな。私も早く観に行って、この語り合いの意味を知りたいわ。
ところで本来の自腹コーナー担当者・井筒監督は、どの映画を見てもほとんど大バッシングで斬り捨てるのに終始しているけど、井筒監督が他人の作品を否定すればするほど自身を追い詰めていたように見えて視聴者としてはつらかった。 あれだけ他の人の作品を否定してきたら、その発言自体が井筒作品の印象に影響を与えて観客は純粋に井筒作品を観ることができないんじゃないか、と他人事ながら心配してみたり。天に向かって唾吐いてるようなものだよね。事実、そういう理由で自腹出演以降の井筒作品は選ばないようにしている私だけど*2、あの個性を評価する人もいる・・・んだろうなぁ。
で、番組の内容に戻りますが、今回の虎ノ門企画は「松尾貴史プレゼンツ 妄想居酒屋まつお」。前回の妄想喫茶と同じ要領で、たとえば今回なら「エジソンの親戚」と名乗る４人が、エジソンはどういう人だったかを妄想で語るコーナー。 参加者は勝俣州和、土田晃之、石井正則、有野晋哉の４人。テーマは上記「エジソンの親戚」と「首相官邸に入ったことのある人」という２部に分かれていた。
４人の妄言はどれも「あり得ね〜（笑）」って感じで面白いんだけど、それぞれの妄言にも個性があるなぁと途中で気がついて、そこも興味深かった。 たとえば勝俣さんはテーマの事実から関連して思いついたオモシロワードを支離滅裂に発していたり*3、ほかの人の発言を受けてそこに表面的に乗っかっていったり*4する傾向があった。 土田さんは、エジソンだの小泉首相だの、テーマに登場する人物名ではあるものの、そこで展開する話はすべて実在する叔父さんのことだったり地元の友だちのことだったり・・・という具合で、その人たちをイメージしながら話しているのか揺らぎのない具体的な表現*5が多かった。 有野さんは、みんなが適当に出した発言から情景を膨らましていくのがうまいなぁ*6。 石井さんは実際、歴史上のエジソンについて詳しかったらしく「知ってるだけにめちゃくちゃなことが言えなかった」と悔いていたり。
この妄想居酒屋、こんなにテキパキとした段取りじゃなくて、ひとつのテーマをもっとダラ〜ッと流したら面白いのじゃないかしら。あと松尾さんがたびたび事実と妄想話の矛盾を指摘するのだけど、そうすると参加者たちがびびってあまり突飛なことを言おうとしなくなるので、そのあたりも考慮して次回につなげてほしい。事実に関する情報はあまり明示しないほうが膨らむものね。 理想としては、話しているうちに何がウソで何が本当なのか、参加者自身もわからなくなるぐらいまでに広がるのがいいな。
で、妄想といえば伊集院さんでしょ、伊集院さんが出ればもっと盛り上がるんじゃないかなぁ・・・とも思ったけど、伊集院さんは大勢の人前ではどうしても常識人側にまわってしまう芸風なので、参加してもきっと本領発揮はできないわね、と諦めてみたり。という私の妄想。
*1:ちなみに江川さんは「ビルの幼少期のトラウマやブライドが送ったビルとの生活を描きたい」と言っていたけど、これはサービス精神旺盛な江川さんらしい意見だと思う。“憶測の余白”も映画の楽しみどころのひとつだと私は考えているので
*2:ナインティナイン主演の『岸和田少年愚連隊』は観ました。映画館で２回観て、その後ビデオも購入したほど面白かったです。でもそれは井筒監督をまだ知らなかったから純粋に楽しめたのかも、と今は思うのだけど
*3:エジソンの親戚で得したことは「ニュートンと口が聞けたこと」、首相は「自分の出てるビデオ（「感動した！」の場面）を何度もチェックしている」など
*4:有野さんの「エジソンは関西出身」という情報にかぶせて、「口癖は“怒るでしかし”で、メガネをよくずり上げてたよね」と関西の代表的なイメージを出していた
*5:「エジソンは墨田区の小村井駅に住んでいる」「家はクリーニング屋」、「（首相官邸は）２階に上がって手前が純さんの部屋、右側がお姉ちゃんの部屋、奥がお母さんの寝室」「純さんのお姉ちゃんは浦和東高校出身」など
*6:土田さんが、首相を地元の友だちになぞらえて「家に行くと純さんのお母さんが・・・」などと話すと、有野さんはすかさず「出されたカルピスが薄い」「お姉ちゃんの部屋が汚い」「ゲーム機はほとんど持っている」とつけくわえて妄想をよりヒートさせていた
