今夜の『芸術劇場』

ぜひ見てください。

芸術劇場 5月14日(22:00〜0:15)NHK教育

テレビ、CM、ドラマ、映画と幅広く活躍するイッセー尾形。活動の中心は、25年にわたって続けているひとり芝居である。公演場所は日本全国津々浦々から海外に及び、イッセーは老若男女のキャラクターを絶妙に演じ分けていく。
せこく気弱だが、時にしぶとく、一生懸命な人間たち。どこか日本人の類型を思わせる人物像を、さめた目線で、しかし熱演してゆく舞台は幅広い年齢層に高い人気を集めている。
今回のスタジオ演劇では、「スタジオライブ」と題し、代表作4本と新作で構成。地方公演の日々や新作づくりの舞台裏もあわせて紹介しつつ、「イッセー尾形の世界」を描く。

  • 「幸せ家族〜旅行編〜」
  • 「バーテン〜みっちゃんの出戻り編〜」
  • 「老婦人 〜パーティー編〜」「大家族〜休職編〜」
  • 「ベテラン俳優(新作)」
  • 作・出演:イッセー尾形
  • 収録:2006年3月11日(土)NHK104スタジオ

イッセー尾形の「ひとり芝居」を愛するさまざまなジャンルの人が、その魅力を語る。

イッセーさんがスタジオでネタ収録をおこなったそうで、観客なし、そしてスタッフの笑い声も一切入れない収録だったそうです。だからこれをご覧になる人は、テレビから聞こえる笑い声に引きずられることなく、自分の感性でイッセー尾形を楽しめるというわけです。笑い声に慣れている我々には少々居心地が悪いこともあるかもしれませんが、その方法を選んだ今のイッセー尾形の自信、というのも見ものです。
近ごろのイッセーさんは本当に意欲的だなぁと思います。少し前まで、テレビなどに出てきても多くを語りませんでした。私は彼の、その普段のシャイな感じとあのステージの印象とのギャップにアーティストっぽさを感じていたんですけれども、最近はイッセーさん、まるで何かふっきれたかのようにどんどん自分から話したり、人との会話を楽しんでいるように見えて、見た目も前より若くなったような気がします。
ライブでも毎回新作が7〜8本観られるんです。一人芝居なのに上演時間が2時間強なのです。上演時間が長ければすごいということではないですが、ベテランなのにそつなく終わらせない、今のありったけを演ってみせたいという意欲がうかがえて、それが無邪気で精力的でかっこよくてかわいいな、と。しかも年に3本ぐらいのツアーをやっているので、単純計算で年に新ネタ20本以上は生まれているわけです。数年前はこんなにペースが高くなかった気がするんですが。
また今回こうして『芸術劇場』で特集を組まれて、ますますイッセー尾形・森田組の芸術活動感は高まりますけれども、でも私は最近のイッセーさんの「新しいのがいっぱいできて、全部見せたかったのでやりました」という無邪気で精力的なステージは、むしろ芸人の原点の精神であるような気がしています。小学生の頃からずっとイッセー尾形を好んで見てきましたが、私は、今のイッセー尾形が一番脂がのっていて食べごたえがあるように感じています。それは私が単に大人になって料理の味がわかるようになっただけの話かもしれないですけど。
とにかく今のイッセー尾形を観てください。彼の活動を芸術扱いするのはマスコミであって、ネタを見れば、我々の目線にいることがわかる。・・・なんて私が勝手にこんな大絶賛したらかえって見る人の気負いになるかもしれませんが・・・。
まずは今夜。気になったら、DVDもたくさん出ています。そして劇場にも、行ってください。