イン・ザ・プール

観にいったのは4日の土曜で、それからもう4日も経ってしまったんですが、ちょうど今日、8日は水曜日。で、東京の上映館であるテアトル新宿とシネセゾン渋谷はいずれもサービスデーで男女ともに1,000円で観られたと思うので、今夜あたり、いかがざしょ。ちなみにシネセゾン渋谷での『イン・ザ・プール』上映期間は〜6/10(金)までですだよ!
ホント、すっごい面白かったので観にいってみてください。もし、「主役が松尾スズキ」「精神科のハナシ」「お色気ナース」「継続性勃起症」などの情報があなたを「なんか・・・クドそう」などと躊躇させているのであれば、観にいった私が断言します、この映画、とても淡白で、でも深いような気がする、と思わせておきながら実はたぶん何もない、というような、非常に良質の笑いの2時間弱でした。 主人公の伊良部も、素の松尾スズキさんに近いような。・・・って、素の松尾さんがどんな人なのかは知りませんが、つまり彼の得意とする“挙動不審な自信家”ぶりをスクリーンで長時間観ていられるのはそうあることではないので、これは絶対に映画館へ足を運んで観るべき作品だと思います。
監督の三木聡さんが以前、シティボーイズライブの演出をなさっててそれが好評だったというのは歴史として知っていたのですが、演出担当した作品自体は未見でした。そして三木さんが手がけたテレビ番組『ごっつええ感じ』『笑う犬の生活』『トリビアの泉』などはしっかり見てきてはいるものの、そこに三木さんの存在は意識していなかったので、一体どんな作風なんだろう・・・と思っていたら、ああなるほど、何か、今までに自分が「この感覚、いいなぁ」と好んできた点が線でつながったようで妙に嬉しくなりました。
絶対的に力の強い人間がいない空間、みんなどこかしらダメなのに、誰かがどうでもいいこだわりを持つことで 一時的に相対的に、その中で上下関係が生まれたり 居合わせた人間たちの意志ベクトルが同じになってワクワクしたりできるという。「この人たち、おかしいけど、結構そんなもんじゃない?」っていう笑い。きっと「観たヒトの人生観を180度変えてやろう」とか思ってないだろうなぁという感じがいい(笑)。「そういうおかしみも知っていると、得かも」と思えてくる程度なんですが、力加減はこちらのほうが実は難しかったりするもので。
映画の中にはいくつかトリビアネタが出てきたりしてて「おっさすが」と思う部分もあり。あとね、ふせえりさんと岩松了さんときたろうさんが、も、ずっるいの(褒)。ふせさんなんか、ビジュアルがまず強烈なんですけど、でもいい上司だったりして、でもたまに言動がおかしくて、突っ走ってます。「自分、ちょっとフツーじゃないらしい?」って悩む患者たちよりも彼らの周りの人間のほうが明らかにおかしいんだけど、精神が健康だからやっていけてるみたい(笑)。きたろうさんの挨拶ついでのヘッドロックとか岩松さんのウザ上司ぶりとかだけでも観る価値ありますので、ぜひ!ぜひ!
あ、あとね、上映の直前と直後に、三木監督の次回作『亀は意外と速く泳ぐ』の予告CMがあるんですが、これを現在のシティボーイズ演出担当である細川徹さんが作っています。温水洋一さんが登場していて、某話題映画に捧ぐリスペクトとして作ってるんだと思いますけど(心のないフォロー)、ほんっとに、力が抜けるほどおバカな仕上がりです。必見。