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情婦

DVD 映画

情婦 [DVD]

情婦 [DVD]

ぅお、面白かったー……! 1957年のアメリカ映画で自分がこんなに笑ったり驚いたりするものなのかと。面白い、面白いとは聞いておりましたが、期待よりもずっとずっと上の面白さだった。もうね、……アガサ・クリスティー……だし、ビリー・ワイルダー……だよ……。(名前を言うことしかできない)
『情婦』、自分が学生の頃にも観ようとしてたんだけど、DVDのパッケージにびびって(エロくて怖そうで)挑戦できなかったんだよね。
今回この作品を観るきっかけとなったのは『伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!』での紹介。ゲストの戸田奈津子さんがお薦め編で「詳しく言えませんが……とにかく面白い!」と、もどかしそうに紹介していたのが意外だった。「とにかく面白い」って、何も言ってないなー、戸田さんから言葉を奪うなんてよっぽどだな、と思いながら聞いていた。そしたら今度、2週後の感想編で『情婦』を見終えた伊集院さんと竹内アナが、戸田さんを「お会いしたかったです〜!!」と迎えるではないの。その2人のテンションの上がりっぷり、戸田奈津子ラブっぷりがとても印象的で。しかも見終えたはずの2人までもが "面白かったところ" に放送で触れられなくてモギモギしているもんだから「ンモー、3人ともモギモギしてるなら自分で観るしかない!」と、ついに私は本当にTSUTAYAディスカス*1で『情婦』の宅配レンタルを申し込んだのだった。
観た。
最後の最後ぐらいまで「うむ、面白い。上質ってこういうことだ」と偉そうに満足して観てたのに、最後の最後の最後になって私は、ソファからがばりと体を起こし、白黒映画に向かって「まじかよ……」とつぶやいてしまう。そしてエンディング、先方の要求(=映画のナレーション)を「承知しました……」と素直に受け入れていた。
興奮による急激な体温上昇で汗だくになった私は、いてもたってもいられなくて、「すげかった〜、すげかった〜」と半笑いのまま布団カバーを取り替えたり、鍋を洗ったり、シンクも洗ったりしてどうにかエネルギーを発散したものですよ。布団カバー替えは地味に大仕事であることからも、無意識にこれに着手した私の興奮度をご想像いただきたい。しかも取り外したところで今日、雨だから洗濯できないっていうね。
戸田さんと伊集院さんと竹内アナが、放送で鼻息を荒くしながらも何も言えない理由がわかった。あのね……ここだけの話……すごい……面白いの。観て。とにかく最後まで観て。
まあこれだけ駄文連ねても内容に触れられないことをお察しの上、未見の方はすみやかにご覧になるのが良いです。
テンポ良く繰り出されるユーモアで、人物像や背景を本能的に把握させる見事さ。戸田さんが「いま同じものを作ろうとしたら(もっと親切に説明を入れて)2時間にはおさまらないだろう」と言うのもうなずける*2。鑑賞中にふとDVDの再生時間に目をやったら「これだけの情報量をこんなに短い時間で?」と驚かされたもの。口が悪く不摂生をきめこむ主人公の老弁護士が、なぜあんなに事務所の人たちから好かれているのかも、明示はしていないのに、じわじわとわかってくる。
声出して笑ってしまうところもあったな、「ええっ、比喩でなく!?」というコント的なオモシロとか。
あとはその、今さら私が書くことでもないけど、この映画全体に三谷幸喜さん(だけでなく多くの喜劇作家)のルーツがぎゅっと詰まっていると感じた。原体験のひとつにあの映画があったら、映画を作るたびに届かなくてもどかしいだろうし、だけどそれでもまっしぐらに向かっていけるエネルギーになるのだろうなと。
鍋を洗いながら、登場人物を今の日本の役者がやるなら誰だろうなどと考える。看護婦は堀内敬子さん、裁判長は小林隆さん、クリスチーネは十年後の天海祐希さん、かなー。

*1:今回はじめて利用したのだけど、郵便受けに配達されて、ポスト投函で返却できるから本当に便利だね、梅雨の時期おすすめ。

*2:と書きながら思ったのだが、テンポの良さと脚本・演出の見事さ、クセのある弁護士の法廷モノという点も含めて、今期のドラマ『リーガル・ハイ』は、この『情婦』の面白さに重なるところがあるかも。