近頃のお金の遣い方

イッセー尾形のこれからの生活 in GWクエスト
2009年4月25日(土)〜5月3日(昼)
会場:原宿クエストホール
料金:5,000円(全席指定)
イッセー尾形オフィシャルサイト

久しぶりにイッセー尾形を観にいこうと思う。自分の日記を読み返したら、クエストでイッセーさんを観るのは2006年12月以来であった。その後も北千住公演や赤坂レッドシアターのこけら落とし公演には足は運んでいたけど、イッセー尾形の今のホームはなんといっても原宿クエストホールだろう。
「久しぶりに」と書いたが、イッセー尾形は毎年2〜3本のペースでクエスト公演を打っている。しかもそれらすべて新作だから、彼(ら)は毎年20本近くのネタを生み出していることになる*1。それ観るのが「久しぶり」なのは、私が忙しかったのもあるが、ここ2〜3年のあいだ、実はチケットが取れなかったのだ。
イッセー尾形という役者は、私みたいな子どもが偉そうに言うのもなんだけど、今となっては何かのきっかけで急激に注目されるような立場ではないように思う。"イッセー尾形"という表現は確立している。それを気づかなかった人が気づいて、やがて好きになる、ぐらいのスピードでファンが増えていくものだろうし、そういった具合でみんな穏やかに好いているようだったので、チケットも、だいたい発売日の午前中に予約サイトに訪れれば、手に入っていた。
しかし、あるチケット発売日の朝。いつも以上に予約サイトが重く、少し待とうと15分ほど経ってから再びアクセスすると、東京の全公演が完売になっていた。・・・・・・ということが、2公演ほど続いた。イッセー尾形に何かあったのか、チケットを求める人が急に増えたらしい。それでも私は悔しいとは思わず、「誰かがイッセー尾形を観たくて観られるなら、それはいいことだ」となぜか嬉しく思えて、それ以降、クエスト公演のチケットをとるのをやめてしまった。
数日前、クエストGW公演の案内が「また」来た。3月にも届いたはずなのに、今度は「チケット発売中」と書かれていた。読めば、不景気の影響でチケットが売れ残っているらしい。常連客からも「経済的な事情でしばらく行けそうにない」と事務所に電話が入ったりしているのだそうだ(なんて律儀なお客だろう)。予約サイトを見ると、4月25日からはじまるのに、4月24日の本日でも、たしかに平日公演はまだ席が残っている。私は、ある日の公演を1枚予約した。

不景気という状況には喜べないが、この景気だからこそ、お金を遣うたびに意味と意義を確認できて、それはいいことだなあと思っている。私がラクじゃない思いをして得たお金を、大切にしたいものに遣う。私を育ててくれたものに遣う。これからも続いてほしいものに遣う。
たとえば他にも私は、休刊の可能性がささやかれたある雑誌の定期購読を始めたし、本はなるべく買うように、しかも近所の本屋で取り寄せてでも買うようになった。買い物もなるだけ地元の商店街を利用する。今までずっとそこにあることを当然と思って特にお金を遣わず、なくなると決まってから「好きだったのに、なくなるなんて」と関係者みたいな顔で寂しがり、それもこれも不景気だから仕方がないと納得するのは、自分でお金を稼げる限りは避けたいと思う。

私にとって、2年半ぶりのクエスト公演。仕事もちょうど落ち着いてきて、当日は午後休暇もとれることになった。昼下がりの表参道をぶらつき、夜はイッセー尾形で笑い、翌日は休み。楽しみでしかたがない。

*1:だから私は、どこかの誰かが「僕はコントさえできれば満足です」とか言いながら2年に1本しか公演を打たないのを見ると舌打ちをしてしまうのである