西洋骨董洋菓子店

よしながふみは阿佐ヶ谷に住んでいるらしいわよおう」「『アンティーク』のモデルになってるケーキ屋さんはウチの近所にあるのよおう」と再三自慢しておりましたが、実は私、この漫画を読んだことがなかったのですね。よく知らないのに調子イイ。たしか学生の頃、1巻のさわりだけ読んだのだけど、冒頭の小野→橘への告白シーンのいきなりさにおののいて、「こういうのを読むのはまだ早い」と閉じてしまった覚えが。早いもなにもないんですけど、でも、あの頃でなくていま読んだから面白さがいっそう、てのはあるかもしれない。
洋菓子店『アンティーク』で働く者たちとそこに通う客たちの因果がうまいこと描けてるなあ、よしながふみってすごいなあ、と2巻ぐらいまで読んで思う。そして全巻を読み終え、ボーっとしてしまった。因果の結びがうまいだけじゃなくて、人が1人いればその1人に1人ぶんの人生を与えて描いてるのが、なんだか、もう。
こんな面白い漫画描いてる人が阿佐ヶ谷で生活しているのかと思うと、その人と同じ道を歩いて同じ店でパンを買ったり焼き鳥を食べたりしている私にも何か訪れるんじゃないかと思えてくる。思うのは自由よね。
1巻で登場するどこぞのJR駅が、駅名は隠しているけれども実は阿佐ヶ谷駅南口そのまんまで「うひゃひゃ」と思った。ら、2巻あたりで*1堂々と「阿佐谷パールセンター」と商店街の看板が描かれていて、うれしかったけれども、阿佐ヶ谷という地名を知らない読者には果たして伝わったんだろうか、とも。

西洋骨董洋菓子店 (1) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (1) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (2) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (2) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (3) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (3) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (4) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (4) (ウィングス・コミックス)

*1:小野の師匠のフランス人登場シーン