サマータイムマシン・ブルース

今朝の『めざましテレビ』から、軽部氏の声で「『サマータイムマシン・ブルース』の完成披露試写会がおこなわれ・・・」という言葉が聞こえてきて飛び起きた。マジ!?サマータイムマシーンブルースって、ヨーロッパ企画の!?
そういえば数日前にヨロキカからメールで案内が来てたけど・・・この映画化についてのイベントか何かだったのかな?詳しく読まずに通り過ぎてしまったよ。
ヨーロッパ企画はねぇ・・・私の観劇ライフがはじまるきっかけとなった劇団なので、勝手に愛着湧かしてます。
あれは2年前の春、街を行く女性の服色も髪色も明るくなりはじめたころ、就職活動中だった私は、自分が着ている面白みのないグレーのスーツとか、「無難」な黒髪の頭とか、会社説明会資料がたくさん入ったでかくて重い黒のバッグがイヤでイヤでたまらなかったんですね。まぁ本当のところは、なかなか内定が出ない自分のダメさが一番イヤだったんですけど。でもそこに焦点当てると行き場がなくなるので、気持ちが明るくなれないのは外的な色の暗さのせいにしてました。
それで、ある日急に、某社の説明会に行くはずが気がついたら下北沢にいたことがあって。「気がついたら」って書くといやらしいな、本当は新宿あたりで小田急線に乗ること決めてたもんね。
でも何の予定もない下北沢で、スーツ姿じゃすることなくて、喫茶店で本でも読もうとなにげなくバッグの中を探ったら、数日前に行ったラーメンズの『CLASSIC』でもらったチラシがごっそり出てきたんです(バッグの中も整理してないあたりがダメなんだよね)。 で、そのチラシの中にこのヨーロッパ企画の『囲むフォーメーション』のフライヤーが入ってました。 なんのつながりも予備知識もなく、チラシの印象だけを頼りに舞台を観るというのは、このヨーロッパ企画の公演で初めて体験したことです。
舞台は、脚本と演出が非常に素晴らしくて、でも役者の演技がいまひとつ、というところでした。ヘタなんじゃなくて、アガってるという感じ。みんな目が泳いでいたんです。 あとからわかったのですが、彼らの本拠地は京都なんだそうで、だからhomeでない東京公演でああいう演技になってしまったのでは、と思います。
でも私は、その完璧でないところに劇団の進化の余地を見た気がして、すごく嬉しくなったんですね。 ・・・と書くと非常にえらそうですけど、つまりそれまで、毎日のように初対面の大人から「使えそう」「使えなさそう」と評価されていた自分が、今こうして初対面の劇団に「がんばればもっと面白くなりそう」と期待する立場になってるということに・・・・・・うまく説明できませんが、妙な勇気が湧いたんです。
そしてその後、徹底的に憂さ晴らししようと決め、1人で福岡へ行って、福岡ラーメンズライブを全5公演観てたっぷり満たされ東京へ戻り、その翌日に臨んだ会社と縁があるなどしたおかげで今こうして会社員をやってるワケで、まぁ運とか縁とかっていうのはこういうしくみなんだなぁとわかったような気持ちになってみたり。 そしてあのとき、内定も出てない娘の旅行を笑顔で「いってらっしゃい!」と見送ってくれた親には感謝してもしきれません。


ハナシがだいぶ逸れました。 で、ヨーロッパ企画、その年の夏に観たのがこの『サマータイムマシン・ブルース2003』でした。 これもストーリーがよくできていて非常に面白かったです。 『囲むフォーメーション』もそうでしたが、バラバラになっている空間や時間をパズルみたいに集めて組み当てはめ、“そこに起きていた事実”を完成させていくという構成は、脚本・演出の上田誠さんが理系出身だと知って納得。 冷静に考えればすぐ完成するパズルなのに、そのパズルに投げ出された若者たち、各々の恋心とかプライドとかが邪魔してパズルの組み立て作業に素直に協力できなかったり、だんだん形が見えてきたところに ただのばかが入り込んできて台無しにしていくなど、なかなか完成しないヤキモキ感が楽しめました。 この『サマータイムマシン・ブルース』と『囲むフォーメーション』は今夏再演*1するようなので興味を持った方はゼヒ!チケットは明日11日から発売だそうです。私ももう一度観てみようかなぁ(誰か行きませんか?)。
映画は本広克行氏が監督だそうですね。上野樹里ちゃんも出るし、楽しみだ!

サマータイムマシン・ブルース

【CAST】瑛太 上野樹里与座嘉秋 川岡大次郎 ムロツヨシ 永野宗典 本多力 真木よう子 升毅 三上市朗 楠見薫 川下大洋・佐々木蔵之介
【プロデュース・監督】本広克行
【原作・脚本】上田誠ヨーロッパ企画

永野宗典さん、本多力さんはヨロキカの役者さんです。舞台では「パズルを台無しにしていくヒト」の役だったと記憶していますが・・・。味のある風貌と演技がクセになります、注目。