Short Films デラックス版

  1. 「Return」 中野裕之監督作品/出演: 麻生久美子 村上淳 桃生亜希子 田中要次 浅田泰 ほか
  2. 「県道スター」ピエール瀧監督作品/出演: 安藤政信ゲッツ板谷 大竹奈緒子 ほか
  3. 「ハナとオジサン」芹澤康久監督作品/出演: ピエール瀧 hanae* 優恵
  4. 「アダージェット(ものすごくゆっくりと)」安藤政信監督作品/出演: 麻生久美子
  5. 「仲良きことは良き事かな」中野裕之監督作品/出演: シテイボーイズ(大竹まこと、きたろう、斎木しげる)中村有志 犬山犬子  安 妙子
  6. 「Slow is Beautiful」中野裕之監督作品/出演: 麻生久美子 村上淳 桃生亜希子 森下能幸 藤真美穂 ほか
  7. 「Splash Dance」中野裕之監督作品/出演: タイタス・キニマカ ほか/撮影:中野裕之 ドン・キング  音楽:小宮山真介


なにか他の作品と間違えて借りてきてしまったんだけど、すごく良かったです。 麻生久美子って、角度や演技でいろんな人に似てるように感じるなぁといつも思う、それはこの作品で一層。 気に入った作品の感想をあてもなく書きます。
「県道スター」 おバカで哀しくて良い。ヤンキー特有の上下関係を結ぶゲッツ板谷安藤政信、その2人の頭の悪そうな会話がなんともかわいらしい。UFOの気配がすれば話もそこらに追いかけたり、かわいい女の子にすぐアプローチしてしまうような彼らの本能的な行動が笑いを誘いながらもどこかせつない。映像はたまに「これ、ドキュメント用のカメラ(ってあるのかどうか知らないけど)で撮ってるんじゃ・・・」と思えるような素の空気が流れるシーンもあるが、ピエール瀧ならではのテクノな編集がとにかく格好いい。
「ハナとオジサン」 そんなピエール瀧が出演。ハナ役のhanae*という女の子は初めて見たので彼女の才能や売れぶりなどの詳細はまったく知らないのだけれど、ぱっと見、あまりはっきりした美少女というわけではなくて、おそらくハーフであろう混じり気もあれど、いい意味で地味な顔立ち。あと、子どもなのにあまりテンションも高くなく、それが作品中におけるオジサン(ピエール瀧)とのつながりの可能性を濃くしていていいなぁと思った。話のあらすじだけを現実的に考えると実はかなり危険な(小学生の女の子が知らないおじさんと交流を深めていくという、夢抜きで考えればかなり怖い)内容なのだが、はじめのうちのハナの警戒心たっぷりの表情とオジサンの「もちろん俺が怪しいのはわかってるけど、でも」といった遠慮気味の態度は、心情のうごきとしてリアリティがあって入り込みやすい。でも怖いは怖いけどね。 しかしこのhanae*という子もそうだけど、最近の子どもはテンションが低いというか無表情な演技をする子が増えたなぁと思った。もちろんそういう演出をしているんだろうけど、昔の(今もあるか)劇団ひまわり所属です!みたいな喜怒哀楽練習バッチリの子役って最近見ないスね。劇団ひまわりでももうそういう練習はおこなわれてないんだろか(おこなわれていたという事実も知らないけど)。
「仲良きことは良き事かな」 シティボーイズ3人の贅沢な作品。冒頭、大竹まことが一歩ずつ踏み出すごとに記憶が1レベルずつ下がっていくという小ギャグ、映像として成功。何をしに戻ってきたのか思い出せなくて悔しがってる大竹まこともラブリー。 失職したおじさん3人が、ありあまる時間をどう過ごそうかいろいろ試すというかなり哀しい話。でもシティボーイズの3人が演じると、どこか上品というか優雅というか、笑いを邪魔するような悲壮感は薄く感じられるので、それがこの3人の才能なんだと思った次第。これは彼らの年齢として自然なことなんだろうけど、シティボーイズは舞台でもこういう「失職者の長い一日」みたいなテーマのコントが多いような気がするなぁ。 ところで斎木しげる演じる男性がどういう理由で失職したのかを説明する映像(パイロットの彼が、石灰のライン引きを引きながら歩き回るというもの)の意味があまりよくわかりませんでした。わかった人は教えてください。