ジョイナー

先輩A(28)が「ジョイナー、って何か知ってる?」と訊いてきた。
最初、どのジョイナーがわからないのかがわからなかったのだが、先輩の示す文脈を確認するとそれはやはりあのジョイナーのことであった。
私は、指先を伸ばし直角に曲げた腕を前後に振ってみせることしかできなかった。自分より年上の人がジョイナーを知らないという衝撃に、言葉が出てこない。
そこへ上司B(33)が通りかかった。思わず私は上司にむかって「ねえっ、先輩ってばジョイナー知らないんですって!ひょうきん族見てなかったんですかねーっ!?」と腕を前後に振りながら言いつけるように叫ぶ。
すると上司はとっさに、指先を伸ばし直角に曲げた腕を顔の前で左右に振って「かまへんかまへん」とおだやかに言った。
この人に一生ついていこう、と誓った一瞬である。



結局、ジョイナーが何なのかは説明していない。指先を伸ばし直角に曲げた腕を振り合っただけの我々だ。