チューペット

今夜はチューペットを買って帰ろう。
昨日、友人の家へ遊びにいったら、「コレ食べて待ってて」とチューペットが出てきた。猛暑の中を、犬のような体温調節もできないくせに「あぢ、あぢ」と口をあけてボテボテ歩いてきたので、この長くて単純な氷菓子が嬉しかった。
大人がアイスを選ぶとき、つい贅沢を求めて乳系&具だくさんのアイスを購入してしまいがちだ。我が部屋の冷凍庫にも九州名物アイス・白くまが常備されているし、少しよそゆきな気分のときはハーゲンダッツなどのリッチカップアイスを買ってしまう。 このリッチカップアイスを誇らしげにレジまで持っていくと、コンビニの店員もハッとして、リッチカップアイスと客の顔を交互に見ながらハーゲ専用のプラスチック匙*1をつけてくれるのが良い。「リッチですね」との尊敬の念をこめている証拠だ。 けしてアイスの香りを邪魔するような木のアイス匙はよこさない。 もしあなたに「ハーゲンダッツを買ったのに木の匙をつけられた」という経験があるならば、それはそのときのあなたに誇らしさが足りなかったせいだ。
しかし贅沢アイスというのは こだわりの味を愉しむものであって、冷たさは二の次ではないか。というかあまり冷たさを感じないというか。 濃厚さや具だくさんが腹をふくらますし、カロリーも気になる。暑さをしのごうとアイスを食べたのに、食べ終えたあとに口中に残る濃ゆい甘さで かえって暑さを増したようにも感じる。
そこで、チューチューアイスだ。あの長い氷菓子の正式名称がわからないので仮にチューチューアイスと呼ばせてもらう*2が、とにかくチューチューアイスはえらい。ビニールの筒に入っているおかげで、手が汚れない。どんな姿勢でも食べられる。風呂あがりなど、ほてった顔や体にチューチューアイスを押し当てると冷たくて気持ちいい。しかも吸うと少しフルーティなのが、ただの氷筒よりもお得だ。 味が薄い甘すぎないので、1本食べ終えてもさっぱりしたままでいられる。フルーティなエキスをあらかた吸い終えたあとに筒の中に残る白い棒氷をシャリシャリと噛み砕くのも風情がある。
それにチューチューアイスは、真ん中でパキッと二つに折って分けることができる。これを友人らと分け合うことで、ともに涼を求める仲間としての強い絆が生まれないだろうか。 ただ分かち合うのが良いからといって、パピコのような、はじめから分けやすいしくみのアイスなどではこの絆は生まれない。 あの、カチカチに凍っているときのみ勝負できるパキ折りに秘められた野性。分かち合ったふたりは、猛暑を乗り越える戦友である。

*1:さじ

*2:チューペットは商品名ですよね?