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東京マッハvol.10「君と僕と新宿春の俳句まつり」

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会場はキャバレー跡地のニュージャパン

選句用紙を書き起こし。作者のわからない30句。実際は縦書き・均等割付。

  1. 卒業歌ダチとマブだけいればいい
  2. 白線の内側にいて春を蹴る
  3. 停学の太郎の屋根に花ふりつむ
  4. 標準にもボンタンにも吹けよ薫風
  5. 花冷や言葉のやうな貝拾ふ
  6. 浮かれ猫床を磨くと妻が吐く
  7. さくらちる発電の音立てながら
  8. 吹かれゆく紙食器追ふ新社員
  9. ラー油垂らす程の決意や春暑し
  10. しらす丼長嶋有の目がきれい
  11. ゆく春をただいまるすにしています
  12. 鳥交るパーティ帰りのあえて鬱
  13. ルーペ覗きたいだけ春もうららなれば
  14. つばくらや日を掬ひつつこぼしつつ
  15. 老親の早口聞き返せず桜
  16. おい、小池! 花見するから来い早く
  17. 円卓へ蒼い雫の桜降る
  18. 啄木忌出るとこに出るマヨネーズ
  19. 落花かなチワワ震えて腋の下
  20. 警察官人形真顔花菜雨
  21. 襟足の長き父子ゐて磯遊び
  22. コーヒーの泡くちびるにあり遅日
  23. 人去つて戸袋残る暮春かな
  24. 猿の絵を描いて渡せぬ菜種梅雨
  25. 臥しており「花見は疲れる」と歳時記も
  26. 早退の空ひろびろと啄木忌
  27. 山笑う叔父のひたいがM字型
  28. 春炬燵予告で早くも号泣す
  29. いない人の話ばっかり昭和の日
  30. 早稲田大学シマシマ鬱金

来場客は開演前に、この中から「特選(ベスト1)」1句に☆、「並選(好きな句)」6句へ○、「逆選(文句つけてやりたい句)」1句に×をつけ、スタッフに提出。 

ひろこ選

わたしの選んだ句と評はこちら。

  • 並選:鳥交るパーティ帰りのあえて鬱
    • パーティや飲み会があると自分は、会でははしゃぐくせに帰り1人になると落ちこむのだけど、その落ち込みも“あえて”だったのかなあ(落ちてる自分に酔ってたのかなあ)と思えてきて、「ですよね〜」の選。季語“鳥交る”も、春がきて活発になる鳥さえも「はしゃいどるわ……」と冷ややかに見てるようでおかしい。
  • 並選:老親の早口聞き返せず桜
    • 親の、聞き手に構わない話ぶりにぎょっとしつつも老いのことを思って受け止めてしまう感じ、わかる。桜がはかなさを言ってきてつらい。
  • 並選:襟足の長き父子ゐて磯遊び
    • ほほえましいですね。彼らには磯が似合うし、磯の近い土地にそういう親子は多そう。
  • 臥しており「花見は疲れる」と歳時記も
    • 歳時記もそういう言ってるから、と自分の疲れを正当化しているのが高尚な怠け心でいい。俳句に歳時記が出てくる舞台裏っぽさも面白い。
  • 並選:春炬燵予告で早くも号泣す
    • 予告で号泣する感受性の強さと春炬燵の怠惰の組み合わせが自分によく似たお調子者でいいなと思った。
  • 並選:いない人の話ばっかり昭和の日
    • そこにいない人の話ばかりするのって、じつはそこにいる人同士のあいだには話題ないんだよね。その間の持たなさが4月29日あたりのじっとり汗ばみだす頃に合うような。
  • 特選:ルーペ覗きたいだけ春もうららなれば
    • 春のうららかさでルーペを手にとってみてるのがいい。ルーペ覗いてみてる自分の好奇心を、我に返ってうららかさのせいだと字余りで言い訳しているのもかわゆす。
  • 逆選:警察官人形真顔花菜雨
    • こういう、漢字ばかりがならぶ句を以前もマッハでみた気がして、内容を考える前に字面で「見飽きた」と思った。句の内容も、漢字を読みといた甲斐が感じられなかった。

出演者選

開演。出演者陣の選句を発表。(句のあとの名前は選んだひと。無印:並選、☆:特選、×:逆選)

卒業歌ダチとマブだけいればいい
白線の内側にいて春を蹴る  :西、堀本
停学の太郎の屋根に花ふりつむ
標準にもボンタンにも吹けよ薫風  :西☆、堀本
花冷や言葉のやうな貝拾ふ  :西
浮かれ猫床を磨くと妻が吐く
さくらちる発電の音立てながら  :長嶋、堀本
吹かれゆく紙食器追ふ新社員  :米光、長嶋
ラー油垂らす程の決意や春暑し  :千野、堀本
しらす丼長嶋有の目がきれい  :堀本☆
ゆく春をただいまるすにしています
鳥交るパーティ帰りのあえて鬱  :長嶋×
ルーペ覗きたいだけ春もうららなれば  :千野
つばくらや日を掬ひつつこぼしつつ  :千野×
老親の早口聞き返せず桜  :西、堀本
おい、小池! 花見するから来い早く
円卓へ蒼い雫の桜降る
啄木忌出るとこに出るマヨネーズ  :千野、長嶋
落花かなチワワ震えて腋の下  :千野、米光
警察官人形真顔花菜雨  :千野、米光
襟足の長き父子ゐて磯遊び  :西
コーヒーの泡くちびるにあり遅日  :千野☆、長嶋
人去つて戸袋残る暮春かな  :米光☆、長嶋、堀本
猿の絵を描いて渡せぬ菜種梅雨  :千野、米光×、長嶋
臥しており「花見は疲れる」と歳時記も  :米光、堀本×
早退の空ひろびろと啄木忌  :米光、長嶋☆
山笑う叔父のひたいがM字型  :西
春炬燵予告で早くも号泣す
いない人の話ばっかり昭和の日  :米光、西
早稲田大学シマシマ鬱金香  :西×

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※出演者の皆様には写真掲載の承諾をいただきました。(今まで写真撮ったことなかったのですが、この会場に限ってはどうしても載せたくて!)
いやー、艶やかな会場、豪華な出演陣、爆笑につぐ爆笑、最っっっ高でした! 東京マッハ、わたしはvol.1からほとんど行ってて今までもぜんぶ面白かったけど、今回ほど待ちわびた日はなかったよ。だって会場がキャバレー跡地でゲストが西加奈子さんて! もうね、自分の結婚式かってぐらいこの日をたのしみに生きていました。たのしみすぎて母に着物(家紋入り)を着せてもらいました。じっさい自分の結婚式やるんだったらもっと忙しくてたのしみになんてしてらんないだろうけどね。自分の結婚式やることあんのかな。はは。

さて覚えているやりとり、および感想などを。

人去つて戸袋残る暮春かな
出演者内では最高得点のこの句。はじめに評するは特選つけた米光さん「人が去って、戸袋に置いていたお客さんの荷物もなくなって。その去っていく人のほうではなく、空いた戸袋のほうを“残る”といって映しつづけるところがいい」と大絶賛。だが、みんな「ふむふむ(戸袋に荷物……?)」という顔。続いて長嶋さん「僕はこの“人去つて”を引越しと思って。人が引っ越していったら、家ごと残るんだけど、その家の戸袋にだけ焦点を当てたのがいい」。堀本さん「芝不器男の俳句《人入つて門のこりたる暮春かな》を思わせる。雨戸を開け閉めするときでさえ気にかけない戸袋を……」などと話したところで長嶋さん「戸袋ってさ、雨戸しまうところだよね?」。そういえば長嶋さんの評、妙に歯切れ悪いな、ニュージャパンに緊張してるのかなと思ってたけど、米光さんの堂々たる“お客さんの荷物がおける戸袋”で解釈に自信がなかったのかな(笑)。たしかに長嶋さんは選評で“雨戸”って言ってないんだよね。/このあと5分くらいかけて、みんなが米光さんに「戸袋とは」を説明。「雨戸をあけると、雨戸が戸袋にはいっちゃうから、もう袋みたいに何か入れることはできないの」「雨戸がしまっていると空間ができて袋になるんだけど、でも何か入れることはできないの」「つまり雨戸を入れる袋なんだよ。袋じゃないんだけど」 禅問答のような。 米光さんも米光さんで「え? 戸袋って、あの、上のほうにお客さんの荷物がしまえる空間じゃないの?」 天袋?それ天袋じゃない?でも天袋にお客さんの荷物?ざわつくニュージャパン。/戸袋問題が落ち着いたところで、句会初参加の西加奈子さんに、長嶋さんと千野さんが「この句を選んでない2人のうちどちらかが作者なので、それぞれがばれないように評を言ってしらばっくれてみせるんだよ」と句会のルールを案内。/西さん評。「わたし、この30の俳句を飲み会のメンバーだとおもって選んだんやけど」「この句は、第一印象では話してみたいとはおもわんかった。だけど飲み会終わったあとにみんなが『あの子おもろかってんなー』って言ってんの聞いて、話してみたかったなーって」
標準にもボンタンにも吹けよ薫風
長嶋「“標準”って言葉は、ボンタンを穿くほうの人たちがそうでないほうを区別するときに言うんであって、“標準”のほうは自分を『標準だ』とは思わない」/「ボンタンも標準も、制服の当事者は“吹けよ薫風”などと思わないだろう、これは校長の思いでは」と言ったのは千野さんだったかな。/若さをアピールするわけじゃないけどわたし、選評の途中までこのボンタンって語がなんのことかわかりませんでした。わかっていたら選んだかもなー。
コーヒーの泡くちびるにあり遅日
千野さん長嶋さんが「喫茶店に長居したような感じがあっていい」などと穏やかに褒めたあと、西さんはどう?飲み会でこの人みたらどう思う?と聞かれ 西「うん……ええ時間すごしてはるねやー、って」。/ここでみなさんのコーヒー感が語られていた。千野さんはじつは泡のあるコーヒーは好きじゃない、堀本さんはいざというときにカフェインが効くように日頃コーヒーは飲まない(あるいはデカフェをえらぶ)、米光さんはネスカフェのナントカっていうシリーズがいい泡でるんだよ、と熱く語っていたけど、あの……そもそもコーヒーってそんなに泡立っているもの?わたしが毎日飲んでる泡のないコーヒーって邪道? くちびるにつくほどの“コーヒーの泡”にピンとこなくて選べませんでした。/作者は米光さん。米光さんってくちびるとか口とか舌とか好きだよね、過去の句や出題でもよく出してる、と誰かが。米光さん、可愛い顔してなんだかエロいやらしい。
早退の空ひろびろと啄木忌
ずるいこと言いますが、これは完全にわたし、取り逃してました。取り逃したというか、読み逃してた。出演者のみなさんが、選んだ句を読み上げているときに「えっ、こんな句あったの……!?」と悔いてました。気づいてたら選んでたのに。まあでもその読み逃しも選び手の才能のなさゆえですよね……。/長嶋「今回、お題のひとつが《早》という字で、僕も早退句を作りたかったんだけど、うまくできなくてあきらめた。でもこれ見たら、“空ひろびろと”で良かったんだ、と。他人が作った句なのに、句にしたいと思っていた言葉がちゃんといい句になっているのを見て嬉しい。名・早退句」「つねに人は早退したい。早退は事情があってすることかもしれないが、ひとまず『早退は嬉しい』。その景色のない室内からの解放感が“空ひろびろと”だし、じつは結構いいかげんな人間である石川啄木も早退に合ってる」 石川啄木のいいかげんぶりは名著『石川くん (集英社文庫)』に詳しいです。石川啄木でニヤニヤげらげら笑えるすばらしい本です。/堀本「啄木忌は4月13日、つまり今日で」「啄木の短歌に《教室の窓より遁げてただ一人かの城址に寝に行きしかな》というサボり句もある」/西さんはこの句どう?と聞かれ 西「わたし……無遅刻無欠席だったんで……」
しらす丼長嶋有の目がきれい
なんと堀本さんが1人特選。堀本「しらす丼と、長嶋有の目がきれいってことの取り合わせがすごくいい。よく発見したな、と。しらすは春の季語だが、しらすをよく見るとひとつひとつがつぶらな瞳をしている」/作者が米光さんとわかると長嶋さん「米光さんもさあ、きれいな目してるんだよ。黒目がちでさ」。キャバレー会場で49歳と41歳のオジサン2人の瞳の褒め合い勃発!ニュージャパン!

このあたりで西さんが「自分1人で選句してるときは良さに気づけなかった句が、こうしてみんなの解釈をきいてみるとどの句もすばらしくて、わたし以外みんなセンスあるなあと気後れしてしまう」「逆に、堀本さんみたいにいい句いい解釈をする人が、俳句がぜんぜんわからん人たちの中に1人まじってしまう場合、良さがまったく通じなくていらいらしたりするんかな」と。すると長嶋さん「そういうことはあるよ。先日、堀本さんが『5時に夢中!』で出演者たちが作った句にコメントしているのを見たが、堀本さんの甲斐のなさを思った夕方だった」 堀本さん「(あの番組では、たとえば)北斗晶さんの句に対してふかわりょうさんが少し厳しい評価をすると、『コノヤロー!』って北斗さんがふかわさんの首を締めたりして、あ、ここで求められてることはいつもとはちがう、と思った。無難に嘘はつかない程度に褒めるしかなかった」

猿の絵を描いて渡せぬ菜種梅雨
米光「なんで“猿の絵”? 猿の絵を渡そうとするのってどういうシチュエーション? ほかの動物の絵じゃだめなの? 文句つけてやりたいんではなく、純粋に句の意味を知りたくて逆選」/千野さんだったか「これ、イラストレーターなんじゃないか。猿の絵の注文を受けて描いたんだけどいろんな理由で納品できないっていう」/作者の西さんによると「好きな人に渡すために大きい猿の絵を描くんやけど、渡せへんねん。雨も降ってきてよけいに渡せないっていう」なんとせつない恋の句でした。えっ、好きな人に猿の絵……?とざわめく会場、でも長嶋さん「西さんが描く猿の絵だったらもらいたいな!」モテる男の発言! そこから長嶋さんが西さんちに遊びにいったときに家に飾られていた西さんが描いた絵がみごとだったという話。「小説『舞台』の表紙の絵が飾られててさあ、あ、本物だ!って思った」 いいなー(長嶋さんが西さんちに行ったというエピソードが)。舞台
早稲田大学シマシマ鬱金
逆選にした西さん。飲み会メンバー的には惹かれない?と聞かれると、惹かれないというよりは「あの子、(この飲み会に)ほんまに呼ばれてんのかなあ、って」/“鬱金香”はチューリップのこと。わたしも選ばなかったし、作者がわかってもまだいい句だとは思わないけど、早稲田大学生とシマシマとチューリップの組み合わせはわかる気がする。わかる気がしても良さはわからないけど。
ラー油垂らす程の決意や春暑し
千野「この“程の”がいい。“ような”ではだめだった。ラー油をたらすほど、と決意の量を言ってるのもいいし、ラー油たらすほどの量の決意って、ラー油たらすときぐらいしかない」/“ラー油”と“春暑し”がついている*1といえなくもないが、それも「あえて」という感じでいい、と選んだひとたちが絶賛するなか、これまでもハテナマークを飛ばしていた西さんが「その“あえて”の加減はどうやったらわかるの? やってしまってる句と、あえてる(=あえてする)句との見分けはどこでできる?」などと前のめりでマッハズに訊いていた。こういう、雰囲気でもっともらしく聞い入れてしまいそうな話をひとつひとつ眉をふくらまして訊く姿、うわー、これは『円卓』のこっこや! かわいー。西さんかわいー!!とわたしはうるうるしました。マッハズも表現や解釈の微妙なところを細かくきかれて誠実にこたえようとタジタジしていたけど、西さんを見る目はハート。あえてる、て!新語!
浮かれ猫床を磨くと妻が吐く
会場の豊崎由美さんが解釈リクエストした句。猫がマーキングした床を拭いている奥さんが吐いたのか?たしかにあれは吐くほどの異臭だが……それとも奥さん、妊娠してるんじゃないか?そもそも奥さん吐いてるのに一句よんでる場合か、いや名句というのはときに状況を思うと読み手が非道である、ひとまずこの句の主人公は結婚していることはわかった、など荒れる解釈。/作者の西さん「デヴィッド・リンチの映画みたいにしたかってん。窓の外で発情期の猫がア゛ーーーーッって鳴いてるのを聞きながら床磨いてたらうしろで奥さんが吐いてるっていう」 なんとすべてに関連性はなかった!斬新!素敵!(西さんが作った句だから) あと西さんの発情期の猫の鳴きまねがとてもうまかった。
吹かれゆく紙食器追ふ新社員
会場の佐藤文香さんの物申すタイム。吹かれゆく、紙食器、を追う、新入社員。会社の花見、紙食器をつかまえようと新入社員が立つとめくれあがるブルーシート。しだいに景がひろがっていく面白さ。語順の妙であると。/堀本さんが作って、長嶋さんが選んでて、佐藤さんが絶賛するならそうなんだなあ。いやあ、とてもしっくりきすぎていて(浮かぶ景色がとても古くからある花見あるあるに感じられて)川柳みたいだな、と思って選べなかった(川柳みたいだから良くない、ということでもないけど)。すごすぎて凡人には普通に感じられるってこういうことなのかな。/米光「紙皿とか、俳句って軽い物をよむと評価されるよね。《未使用のストロー軽し夏の暮》とかさ」 長嶋さんの句ですね。
臥しており「花見は疲れる」と歳時記も
長嶋「(語の説明が独特な)国語辞典に人格があるとか言うじゃない。僕がつかってる角川の歳時記もさあ、別の版ではどうか知らないけど、やたらに偉そうなんだよ。(食材にもなる動物や植物の説明などでも)『○○にして食べる。焼いて食べても良い』とかさ。許可。それで季語“花疲れ”を見るといきなり『花見は疲れる』から書いてあるの。桜は美しく花見は楽しいが、とかじゃないの。『花見は疲れる』。主観から。歳時記、お前もかーっ!って」
円卓へ蒼い雫の桜降る
観客から解釈リクエスト。会場後方にいた男性が「これは西さんの作品名だけでつくった挨拶句だと思うんですけど、どなたが作った句でしょうか」と。そう言われて西さんは初めてこれが自分にむけての挨拶句だと気づき「だれ!? だれなん!? うわーーーーうれしいいいいい!!! だれなんんーーー???」と立ち上がって会場を見回していた(つくったのは同じステージにいる他の4人のだれかなのに)。会場爆笑。リクエストとした男性にも「わたしの小説のタイトルに気づいてくださったこともうれしいいい、ありがとうございますうううう!!」とめっさ感謝する西さんを見てわたしは猛烈に悔しくなりましたね。わたしだって気づいてたもん!!!!5作品ぜんぶわかってたもん!! でも今回も堀本さんがつくった句なんだろうなということまでわかってたから質問しなかったんだもん……。わたしが質問して西さんを全力で喜ばせたかったあああああ!!!あの男のひとめーーー!!(あらぬ方向に嫉妬)しかし堀本さん、またかっこいいことしよん……。

円卓 (文春文庫)あおい (小学館文庫)しずく (光文社文庫)さくら (小学館文庫)ふる


……もうね、こうして野暮ったらしい文章であのきらびやかでたのしい夜のことを記すなんて到底無理なんだけれども、しょうがない。楽しみにしていた何十倍もたのしかった。
ゲストの西さんも、東京マッハのみなさんも、運営のみなさんも、一緒にたのしんだお客さんがたも、素敵な夜をありがとう、ですよ。この夜の楽しさを思い返すだけでこの先3ヶ月はがんばれます。3ヶ月後にはもう忘れて力尽きてると思うのでまた次回を楽しみにしています。今度は夏に屋外とかいかがでしょう。浴衣着ていきます。

作者

卒業歌ダチとマブだけいればいい  西加奈子
白線の内側にいて春を蹴る  米光一成
停学の太郎の屋根に花ふりつむ  千野帽子
標準にもボンタンにも吹けよ薫風  長嶋有
花冷や言葉のやうな貝拾ふ  堀本裕樹
浮かれ猫床を磨くと妻が吐く  西加奈子
さくらちる発電の音立てながら 千野帽子
吹かれゆく紙食器追ふ新社員  堀本裕樹
ラー油垂らす程の決意や春暑し  長嶋有
しらす丼長嶋有の目がきれい  米光一成
ゆく春をただいまるすにしています  千野帽子
鳥交るパーティ帰りのあえて鬱  西加奈子
ルーペ覗きたいだけ春もうららなれば  長嶋有
つばくらや日を掬ひつつこぼしつつ  堀本裕樹
老親の早口聞き返せず桜  米光一成
おい、小池! 花見するから来い早く  千野帽子
円卓へ蒼い雫の桜降る  堀本裕樹
啄木忌出るとこに出るマヨネーズ  米光一成
落花かなチワワ震えて腋の下  西加奈子
警察官人形真顔花菜雨  長嶋有
襟足の長き父子ゐて磯遊び  堀本裕樹
コーヒーの泡くちびるにあり遅日  米光一成
人去つて戸袋残る暮春かな  千野帽子
猿の絵を描いて渡せぬ菜種梅雨  西加奈子
臥しており「花見は疲れる」と歳時記も  長嶋有
早退の空ひろびろと啄木忌  堀本裕樹
山笑う叔父のひたいがM字型  米光一成
春炬燵予告で早くも号泣す  西加奈子
いない人の話ばっかり昭和の日  千野帽子
早稲田大学シマシマ鬱金香  長嶋有 

*1:ここでの「ついている」のひろこの勝手な解釈:「ついている」=2つが似かよったイメージを持たせる語である。ラー油はからくて食べると汗ばむから、“春暑し”の状態と重なるともいえる。十七音のなかで「ついている」と、説明的、クドい、ひろがりがない、と捉えられる向きもある。