2020/04/05

午後から降るとの予報で、昼前に食料買いだしをかねた散歩。緑道公園と川沿いがつながるルートを3kmほど歩く。これから散歩はこのコースにしようと決める。

 

スーパーで800gの合挽肉をカゴに入れていた夫は、帰宅し手洗いうがいをすませるとすぐにそのまま料理を始めた。わたしがとりこんだ洗濯物の山をのろのろと畳んで減らしているうちに、台所にはハンバーグの山ができていた。いつも漫画みたいにどっさりハンバーグを作る人だ。(皿にどっさり積まれたハンバーグを、ひょいぱくひょいぱくとスナックのように食べるシーンのある漫画の記憶があるのだが、それがなんだったか思いだせない。『ドラえもん』かな?とも思うが、それはバイバインの回の栗まんじゅうの山とまちがえている気もする)

 

14時からZoomで公開句会ライブ『東京マッハ』が開催されるというので選句をすませる。距離をとったり手洗いしたりしている俳句がならんでいた。志村けんを偲ぶ句もある。

https://note.com/tokyomach/n/nd6277c156e64

でもそういう句を、おもしろいとは思っても「いいね」と選ぶ気持ちに今はなれなくて、本来なら今年も新しい靴であちこちでかけて後悔していたであろう春を浮かべてこの句を特選にした。

くつずれでもはやこれまで蝶の昼

参加しようとすると、定員100人超えで入れなかった(本来は500人定員のプランを使ってるはずだがなぜか適用されてない、と運営側の人がツイートしていた)。急遽インスタライブでも配信するというので、Instagramのアプリを入れていなかったわたしは慌ててインストールを試みたが、なかなかインストールが完了しない。あきらめて同時刻に開催されているスラッシュパイルの有料配信ライブ『天才の名言』を観た。

 

『天才の名言』はとにかくすばらしかった。ものまね芸人の原口あきまささんが 石橋貴明千原ジュニア明石家さんま(="天才"たち) をそれぞれ30分ぐらいずつ演じつづけ、パネラーがそれぞれの"天才"たちが言いそうな、あるいは言わせたい名言を考えて原口さんに言ってもらう。MCは山里さん、パネラーはハリセンボンはるかさん、東京03豊本さん、トリプルファイヤー吉田さん、ずん飯尾さん。現地に集まる方式のライブだったらチケット取れなかったろうなという豪華な面々。

 

原口さんは冒頭は素の状態で出てくるがすぐにひっこんで、メガネをかけ肩をすぼませるようにして改めて登場したその瞬間から、声を発さずとも完全に石橋貴明で、会場の空気がピリついたのがわかった。そこからずっと、パネラーのシンキングタイムもずっとタカさんらしいしょうもない話やイジりをふりまき、山ちゃんたちもそれをタカさん本人に対するのと同じ緊張感を持って応じる。そういうのが千原ジュニア明石家さんまとつづく。はるかさんは終盤になって「特番の収録3本やってる気分」とつぶやいていた。

 

原口さんのものまねをより"本人"に仕立てた要素として、その彼らとの共演経験が多い飯尾さんと山里さんによる"後輩芸人"としてのうろたえやアシストもすさまじかった。下北沢の地下の全面黒い壁のライブスタジオも、だんだん、テレビ局のきらびやかなセットに見えてくる。

 

今のところこの中では明石家さんまという人に一番遠いであろうトリプルファイヤー吉田さんも、さんまさんと共演したらきっとこういうイジられかた(気に入られかた)をするのだろうという納得のくだりがあったし、その吉田さんが書いた"本人が言いそうなセリフ"は、明石家さんまを憑依させている原口さんにとっては核心をついていると思えたらしく「これ、他でも言うてええ?」とセリフをもらっていた。

 

ダレる瞬間がまったくなく、ずっと驚嘆か緊張か爆笑をしている2時間のお笑いライブだった。すべての演目を終えて最後に素の原口さんどうぞ、と呼ばれたとき原口さんはものまねで登場する時よりも少し時間を要した。いわく「声が迷子になった」「自分の話し方がわからなくなった」とのことだった。

 

ライブにあまりに感動してわたしはライブ終了後にスラッシュパイルのnoteにかけこみ、本来のライブのチケット代金を投げ銭し、今見たライブのアーカイブをまたはじめから見た。

 

そうしているうちにTLのようすから『東京マッハ』のほうも終わったことがわかり、ハッシュタグをたどると句の作者もちらほらとわかった。

 

くつずれでもはやこれまで蝶の昼   藤野可織