『D.T.』

D.T.
一気に読み終えた。対談形式だから、遅読家の私にもすぐ読める。
最初から最後まで「童貞バンザイ!」精神で通しているのだけど、ところどころで「こうすれば女の子と普通に話せるんだけど」「モテるやつはこういうことが躊躇なくできる」などと、“モテ”を定義するついでに 自分たちの青春と重ねて少々反省気味になったりしていたおっさん2人の図がまさにD.T.なんだね。
「童貞」「モテ」だけじゃなくて「ガハハ」というジャンルについて語ってたのも面白かった。単純豪華な映画を撮る監督を指して「あの映画監督はガハハだよね」みたいな。「脇役の女とか、きっと前の晩に行ったキャバクラの姉ちゃんたちの名前を適当につけてんだよ」とか言ってんの。 あとSF映画監督は基本的D.T.っていうのが(笑)。


「女子にもD.T.はいる」論が興味深かった・・・というか、学生時代の自分、あてはまってたなぁ、と苦笑い。
D.T.の特徴として「デートの計画を綿密に立てる」「相手の反応もすべて計画のうちに入れている」「想定範囲外の出来事に対応できない」「会話で間(ま)が埋められない」というのがあって、あぁ・・・学生の頃の私、まさしくそのとおりでした。
デートに限らず、人と会う予定を立てるときなんか、もう、1人で完璧な計画立てたりしてたもん。 「この集合場所なら寒くない、疲れない、お金がかからない、移動に便利」「この店なら料理がおいしい、高くない、落ち着いて話せる」「あの人に会うならこの話と、この話と、この話をネタとして持っておこう」「あの人は○○が趣味だから調べておこう」なんて。 たとえむこうから「ヒマなら会おうよ」って誘われても「じゃあこの映画観にいきましょう」ってなんらかの目的で埋めて、絶対にリバティを許さない。「よく思いつくねぇ」って感心された(んだか皮肉言われたんだか、ってな)こともあったよ・・・ふふふ。
アドリブかませないから想定範囲外の展開が怖いし、あてなく時間をすごすのってなんだかもったいなく感じられたんだよね。 友だちと遊ぶのでもそんなふうに気負ってたから、だんだん人と会うのイヤになっちゃって、で、結局1人行動が一番ラクだなーというところに落ち着いてました。だめ人間だもの。
今は社会人として、いろんなご縁で人と会う機会も増えたので、「あ、突然の飲み会とかでも意外と大丈夫なんだ」「話題って結構いろいろ出てくる」ってことがだんだんわかってきてますけれども(でもまだ自信ナイ)。
そういえば数年前になにかの雑誌で、「最近の若い人は間(ま)を怖がる。もっと雰囲気で楽しむことを知れば・・・」という秋元康の発言を読んだ記憶があるのだけど、あれはまさにD.T.の人を指して言っていたのではないかしら。秋元康D.T.とは真反対の人だよね、見ためがあんな・・・こう・・・アレなのにさ。でもそのことを言及させない姿勢でトレンディ生成に勤しんでるところが素晴らしいと思います褒めてます。


惜しかったのが、みうらさんも伊集院さんも童貞喪失が10代なんだそうで、それは人生上の事実ではあるんだろうけど、嘘ついてでも20代以降に喪失してることにしてほしかったよ(笑)。せめて伊集院さんは、さ。 「初体験は不本意なまま終わったけど、一応10代に」とかって、お互い何度か念を押して言っているあたりが・・・なんか「精神面がどうこう言ってるけど、自分たちも経験年齢にこだわってるんじゃん」とか思った。・・・ああそうか、でもこのくだらない見栄(?)がD.T.の精神なのかもね(笑)。