結婚できない男 最終回

評判にのっかて三週目あたりから見始めましたが、本当にいいドラマでした。悲しいことは何もないのに、たくさん泣いた。
信介の母の退院時に2人が病院前に残されたシーン、夏美が信介に 彼のテレビ出演でカットされた話はどういうものだったのか聞き出したところが私の中でのクライマックスだった。
数日前に夏美が茶化して流してしまった話を、姿勢を正して夏美が聞き出す。 そして信介の話を聞けた夏美の顔がなんとも少女の顔で、私の胸にぐぐぐと入り込んできた。そのぐぐぐがやがて涙腺を通じてのぼってくる。
好きな人が大切にしているものに近づく勇気。触れられる喜び。「わたし、おめでとう!」という瞬間。あれは叫びたいほど嬉しいんだ。
毎週毎週、ためた涙をこぼさずにキッと口を結んで自分の気持ちに強がっている夏美の代わりに、テレビの前の私がわんわん泣いてきた。ちょっとどうかと思うほどたくさん泣きながら見てきた。 だから最後、信介の告白を聞いて夏美の涙がこぼれたとき、その涙がうれしくて湧いてきたものだと知っていたので、今度こそ私は泣かなくてよかった。ひたすらうなずいて2人を祝福した。
私が見てきた限りでは、このドラマに出てくる人たちは誰も抱き合ったりキスしたりしなかったのに、そんなことしてみせるよりもずっと恋が強烈で丁寧に描かれてたように思う。 生活がまるごとひっくりかえるような恋なんてそうそうできるほど日常は協力的じゃない。自分の生活をきっちり過ごして、自分のポリシーをしっかり通して、それでも頭の片隅から抜けない“あいつ”という恋。そういう恋が30過ぎても40過ぎてもできるものなんだと思ったら妙に元気が出てきた。贅沢な恋の行方だった。
とにかく何を書いても褒めたりないから、代わりにお礼を。素晴らしいドラマをありがとうございました。