腹が減っては戦はできぬ

ただいま。


会社のエレベーターのボタンの台の部分が鏡になっているのだけど、ボタンの隙間からその鏡に映る自分の顔を見たら、真っ白、いや、真っ青でびっくりした。
そんなにショックだったのか自分、と思ったらまた震えが戻ってきて、目を白黒させながら駅まで歩き、ただでさえうつろに見える、夜の電車の窓で、青白い顔をぼんやり見ながら揺られていた。口が開いていた。


阿佐ヶ谷駅について、寄り道もできないほど駅から近い自宅*1へと歩き出しながら冷蔵庫の中を思い出してみたけど、そういえば何も入ってないんだった。
そのまま自宅方向の曲がり角を通り過ぎて、パールセンターの中ごろの大戸屋へ。
あったかくてゆるやかなうどんか蕎麦でもあったろう、と臨んでみたら、期待以上、“九穀雑穀ぞうすい”というのがあって迷わず選択。


でも“九穀雑穀ぞうすい”、399円。安すぎる。23時に外にいる大人が399円だけ置いて食事していいものだろうか。
それに大戸屋はだいぶ久しぶりに来たから、どのくらい出てくるんだったか量が読めない。
399円の安さに猜疑心を抱き、念のための副菜として“じゃこと豆腐のサラダ”(336円)もあわせて、あわてて、注文。


そうだった。大戸屋は学生の友だったなぁ。と。


先に出てきた“じゃこと豆腐のサラダ”の家族サイズを見下ろしながら、まだ箸をつけてもいないのに、あの頃の満腹の思い出が蘇ってきた。
器が大きくてうれしいなぁ。絹豆腐が1丁ぶんぐらい入っていてうれしいなぁ。水菜とワカメとレタスが、ドサドサわん、と盛られていてうれしいなぁ。
私の短い髪が素敵だからサービスしてくれたんだろうか*2。閉店間際だからサービスしてくれたんだろうか。うれしいじゃないか。食べようじゃないか。


山盛り水菜とワシワシ格闘してたら「“九穀雑穀ぞうすい”お待たせしました!」どん!
うおぅ。しめじたっぷり。卵の黄身がうっとり。あずきが入ってるのかな、ほのかに甘い。
ああ、これ1つでも満腹になれたなぁ。


でも食べた。ぜんぶ食べた。
お母さんは「赤毛のアン」が大好き (角川文庫)』を読み終えると同時に食べ終えた。
おいしかった。おもしろかった。


今日はせっかく朝食抜いて、昼も“スープ蒟蒻麺”だけにして、そのあとも一切飲み食いしないで胃収縮を狙ってたのに。
いま胃がぷくぅと、頭悪そうに拡張していくのがわかる。


でも明日、会社に行くのは怖くなくなった。
震えが止まらなかったのも、顔が青かったのも、それだけのことだった。

*1:本当は自慢

*2:そういえばいつものごとく、会社じゃ誰も声かけてくれなかった。いいけどね、今となっては髪型褒められてる場合じゃないし