ムライの700円

出先で入ったセブンイレブン
ドリンクコーナーへ行くと、その手前のアイスコーナーに、中学の部活帰りとおぼしき坊主男子が2人、冷凍ボックスを上半身で覆っている。彼らの鼻先が売り物のアイスについてしまいそうだ。
「うあ〜きもちぇ〜」「やべぇ俺ここで2時間ぐらいすごせる宣言」
ボックスの冷気で涼む坊主2人。の、もとへ新たに3人の坊主が現れ、そのうちの1人が音量調節のきかない声で目の前にいる冷気坊主たちにむかって叫んだ。
「おい!ムライが700円持ってるって!なんか買えるぞ!」
ムライの700円に冷気坊主たちも顔を上げる。
「やべぇ、1人100円以上つかえるんじゃねぇ?」「120円ぐらいだな」
700円で5人なら140円だし、そもそもなぜムライの金を当然のように5当分するのか、そしてムライの700円が判明するまで君らは何を目的にコンビニを目指したのか。 店内じゅうの無言の問いかけ視線を気にも留めず、五坊主の700円会議は続く。
「ガム買おうよ」「ばか、ガムなんて腹いっぱいになんねぇよ!・・・や、待てよ?噛むと満腹中枢が刺激されるぞ」「分けて食えるし」「あ、そういう意味?1人120円じゃなくて?」
割り算もできないのに満腹中枢ときた。ばかなのか賢いのかわからない。

しかし非常にいいものを見せてもらって満足だ。その場でおにぎりでも5つ買って、彼らにふるまいたかったぐらいである。