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穴あけパンチ

 20時帰宅。夕飯はかぶのクリームシチュー。土曜夜に自分が大量に作って冷凍したものを解凍して。家主が仕事で遅くなるとのことで、夕飯はおのおので済ませることに。
 帰ったらあれやろう、1人でいるうちにこれやろう、と思ってたから作り置きシチューでちゃっちゃと済ませたのに、濃いめのハイボールを飲んだせいか急ぎでもないことをダラダラとしてしまう。21時すぎに家主帰る。手にパンを持っていた。家主自身は夕飯を済ませており、わたしがシチューとともに食べれば良いのではないかと思って買ってきてくれたそうだが間に合わなかった。
 家主にリングファイルと穴あけパンチをプレゼントする。プレゼント、などと言うようなものでもないが。
 家主は熱心にいろんな句会や俳句勉強会に通っていて、そのたびに選句用紙や資料を持ち帰ってくるのだけれど、それが特にルールもなく本棚のあちこちやいろんなクリアファイルにはさまれているのが気になっていた。資料はA4、A3いりまじって100枚以上あるのではないか。自分も片づけが苦手なくせに他人のモノの持ち方は気になるものだ。資料をリングファイルで綴じておくと検索性も高まりあとから閲覧しやすいのではないか、と提案すると家主は、リングファイルも穴あけパンチも持っていないと言う。いや、持ってなければ買ってそうすればいいだけなのだけど、いまいち穴をあけてリングファイルに綴じることの利便性にピンときていないようなのである。しかし文房具とはそういうものだ。モノとしては誰もが知っていて、実家や学校や会社などで自分が買わずとも使える環境が長らくあったので、自前ではわざわざ買って使おうとは思わないのである。
 わたしは職場で書類をリングファイルに通す作業が頻繁に発生するので、会社共用の穴あけパンチでは物足りず、自分で選んで買ったマイパンチを使っている。携帯できるサイズなのだが、パンチの底に細い定規がついており、その定規を引き出しておくと、A4縦やB5縦、A4横やB5横に対して適切な位置に穴があけられるようになっている。大したものではないが、紙を甘く折って中央に印をつける作業から解放されたことはわたしにとって大きな革命であった。
 この自慢のパンチを持ち帰ってきて、無印良品のリングファイルとともに家主にあげた。家主は初めこそ、親から文具を与えられ「これで勉強がはかどるな」などと言われた子どものように釈然としない顔をしていたが、わたしがためしに1枚、2枚と紙に穴をあけ綴じてみせると、何か心得たようで、そこから猛然と資料に穴をあけだした。部屋じゅうのいたるところに挿んでいた俳句資料をガサガサとかきあつめ、さらにPCを立ち上げ過去のスケジュールを見返し、資料に句会の名前や日付を入れるようにもなった。作業の面白みに気づいたようだ。しめしめ、と思う。かきあつめた資料すべてに日付を入れ、綴じ終えた家主は、厚みを確認するように表紙を閉じたファイルを上からバンバンと叩いて満足そうだった。