共感百景

まさかジャルジャル(バラ売りだけど)と西加奈子さんと加藤千恵さんが同じステージに並ぶとは……しかも自分がずっと見てきた共感百景で……と、自分にとってはかなり特別なキャストでした。発売日にとれなかったチケットも、公演直前までねばって探して、定価で譲っていただき、なんと最前列!
全編最高でしたが、特に反芻したい場面(おもにジャルジャル後藤さんの活躍と西さんらへん)を残しておきます。メモとらず記憶のみで書いてますので、共感詩も(わたしが理解した限りの)大意です。不都合ありましたらコメント欄でご指摘ください。

第一局「食事」

トリプルファイヤー吉田さん、出てきてMC横に立つだけで何も言わなくても会場クスクス。愛されてる。

それぞれのオーダーをたたえあう優しい時間  西加奈子
西「友だちとごはんに行ったとき、注文を言うたびに『そのチョイスいい!』ってなるやないですか。春野菜の天ぷら、とか言うと \おお、それや!/ って。大好きな人たちと集まって、自分が食べたいものを言うたびに褒められる。これ以上ないほど優しい時間ですよね」
加藤「カナコちゃんとよく食事にいくんですけど、たしかに何か注文するたびに『いい!』って言ってくれるんですよね。言ってくれてるな〜とは思ってたけど、まさかそれを“優しい時間”と捉えてるとは知りませんでした」
西「チエちゃん、注文うまいんですよ!『それや!』っていうのを選んでくれるから。お腹いっぱいやけど何か口に入れたい、みたいな追加でたのむときもね、ナスの一本漬けとか選ぶんです!」
加藤「その程度ですよ?(笑) ナスの一本漬け程度で『それや!』って言ってくれるんでね……、若干重いなと感じるときもあります(笑)」

命を『いただきます』 ぜんぶ実感できるのは80歳になったとき  後藤淳平
後藤「『いただきます』は命をいただくと習ったけれども、それは子どもの頃にはよくわかってなくて、で20歳くらいになってくると肉や魚がそうであるということに実感が持てるようになる。30歳くらいになると米にも命があったと思える。そうやっていくと、80歳くらいでやっと、いただくものすべてが命だとわかってくるんだろうな、と」
初登場1編めからお坊さんの説法のような後藤さんの共感詩。勝手にとまどう客席のわたし。
加藤「30歳でお米にも、と気づくなら80歳では何にも命があるって気づくんでしょうね」
後藤「その……箸、とか」

見ても何かわからない 食べても何かわからない  後藤淳平
後藤「出されたお弁当とかにたまに入ってるんですよね、『これなんやろ?』っていうようなものが。四角くて……グレーで……肉?魚?みたいな。で、食べてみるけどやっぱりわからない」

第一局を終え。
ひとり「吉田さんはどれが特に共感しましたか?」
吉田「《食べても何かわからない》ってやつですね……」
お!吉田さんが後藤さんに共感してる(←それだけでうれしい)。

第二局「浴室」

1周めシンキングタイム。めちゃイケの話をいろいろ。後藤さんそんなふうに思てたんや、とかなり興味深かったけど、ライブだから話したという感じだったので省略。

大事な日だからリンスする  トリプルファイヤー吉田
吉田「普段はシャンプーだけでリンスはしないんですが、ワンマンライブとか親友の結婚式とか、大事な日の前の晩はリンスしとこう、リンスで誠意を示そうっていう……」
ひとり「今日も(この共感百景のために)リンスしてきました?」
吉田「あっ……ちょっとうっかりしてました」

2周めシンキングタイム。
ひとり「後藤さんは今の中で共感したものはありましたか?」
後藤「僕も普段リンスはしないので、吉田さんと同じですね。大事な日というか、気持ちが『よし、今日はリンスもするか』ってなるときがあって、嫁のを借りることはあります」
ひとり「そうなんですねえ。……僕、少し前からシャンプー変えたんですよ」
後藤「……? はあ……」
ひとり「仕事で子役の寺田心くんと一緒になってね、休憩中にずっと心くんの頭をなでてたんですよ、心くんの髪、触るとすっごく気持ち良くて。で、心くんの髪、サラサラで気持ちいいねー、って言ったら『ぼく、ジョンマスターつかってるんだい!』って言ったの。なにそれ、と思ってメイクさんに聞いたら、たしかにそれ女性に話題のシャンプーだと。そんでトライアルキット取り寄せて、10日間つかってみたらね、シャンプーとトリートメントだけじゃなくて、プレシャンプーってのもあって、本シャンプーの前に軽く汚れを落とすの。あとトリートメントはアウトバスってのもあって」
後藤「いくつあるんですか」
ひとり「ぜんぜん興味なさそう!ちょっと、匂いかいでみてよ!いいものだってわかるから!」
後藤「えっ、えっ」
グイグイ来られ、やむなく劇団ひとりさんの頭の匂いをかぐ後藤さん。
後藤「……(首をかしげる)」
ひとり「いや、わかるでしょー!違うでしょ!ジョンマスターの香りなんだよこれ!」
後藤「違うっていうか、前がどんな匂いかわからんので……でも、はい、オーガニック。オーガニックやな〜って匂いはします」
ひとり「でしょー?いいんだよ、ジョンマスター。俺これをきっかけに石鹸も凝りだしてさー、塩の入った……」
ひとりさんのビューティートークはこのあともつづきました。

第三局「会話」

シンキングタイム、西さんが髪を切った話。
ひとり「ずいぶんと短くされましたねえ。なにかバッサリいかれる心境の変化とかがあったんですか?」
西「これ、いい話になってしまうんですけど話していいですか? 髪はずっと短くしたいと思ってたんやけど、髪を寄付できるって知って、それやりたいと思ってて。30cm以上だったか、長さに条件があったので、その長さになるまで伸ばしてました」
……と、髪の寄付の話が少しつづき、
ひとり「ところで西さん、シャンプーなに使ってます?(嬉々として)」
西「わたしねえ…(嬉々として)半年ぐらい前からジョンマスター使ってるんですよ」
ひとり「お!もうジョンマスターお使いでしたか!」
ジョンマスターの語にピクッと反応するパネラーの後藤さん。離れたところでマイクを口元に近づけたまま2人の会話を黙って見守る。
ひとり「ジョンマスター使い始めのときって、今まで使ってた普通のシャンプーで洗ったときみたいな指通りがなくなるんですよね。髪がいったんガシガシになる」
西「そう!でも使い続けるとね、髪じたいがだんだん己のパワーでコーティングしだしてツヤが出てくるんですよね」
ひとり「僕の髪もね、今やっとそこを乗り越えて指どおりが良くなってきたんです」
西「いいですよね、ジョンマスター」
後藤「西さん、あとで髪の匂いかがせてください!」
淳平、ジョンマスター嗅ぎ師としてのチャンス逃さず!拍手!(胸の中で)

ロングトークの合間にインパクト残す相槌 後藤淳平
相手の話が長いとき、自分の相槌のバリエーションが少ないと聞いてないと思われるのでびっくりしてみせたり復唱してみせたりする、という社会人の会話あるある。

びっくりする顔して聞かないで そんな大した話じゃないから  後藤淳平
昨日コンビニ行ったときさー、などなんでもない話をしようとしはじめたら「おお!コンビニ!」と驚いたような、期待にあふれた顔で相槌を打ってくる人がいるけど、なんも出ないよ、ごめん、と。
これ、ステージでは特に展開してなかったけど、後藤さんの1つめのロングトークへの相槌と裏表になってる(自分が良かれと思ってやってることが相手をとまどわせうる)と思えてなかなか面白かったです。厳密にいうと「長い話に対して相槌に抑揚をつける」のと「話の冒頭から食いついてみせる」のは違うけど、話に期待してないことを相手に悟られないように逆にテンション高めに聞いてしまうことはあるなーと。上下関係があったり初対面とかだと自分は結構やってそう。

話すことがなくなって頭の中に『ファイト!』が流れる 柴田聡子
※これもっと独特な言い回しだったんだけどあまりに独特で再現できないです、柴田さんすみません
慣れない相手との会話が途切れると脳内に中島みゆきの『ファイト!』が流れだす、と柴田さん。てっきりサビの部分だろうとみんなが把握しかけると
柴田「(唐突に)ドゥットゥーチーッツッツ ドゥットゥーチーッツッツ」
後藤「イントロからや」
ひとり「えっ、あのはじめの暗いとこから?」
後藤さんが即座に柴田さんの意図に気づいて言語化したのがナイスプレーでした。柴田さん、すべてが静かに強烈でおもしろかったです。

第四局「服」

シンキングタイム。W川島。
ひとり「川島さんはシャンプーなに使ってます?」
川島「僕もねー、普段リンス使わないんですよ。以前、泥のトリートメントみたいのんを使ってみたけど、いつまでも、連れ子のようになじまない。髪の上に泥をのせているだけ、という感じで、髪になじんでいかずボタッと落ちたり」
ひとり「そうなの?僕はもう、ジョンマスターにハマってから石鹸もこだわってて、今すごいお尻ツルツルですからね。美尻。女の子がお風呂長い理由がわかった。やることいっぱいあるの」
川島「吉本の楽屋とかいてもそういう美容とか健康情報とか入ってくるの遅いですからね。最近やっとマヌカハニーが流行りだしましたから。千鳥のノブが持ってきたんですけど。『ええもんがあるんじゃ、えらいハチミツなんじゃ〜』って」
ひとり「すごいな、昔話みたいだ」

 * * *

……といった感じでした(実際はこの十倍ぐらいいろんなことで盛り上がってました)。
詠み人も顧問も全員30代だったからか(柴田さんが29歳かな)、共有するものが濃く、共感百景の何期めかに入ったという感じで、なじみがありながらも新しい空気が流れて面白かったです。

そのほか、もうちょっとだけ、後藤さんについて書き残しておきたいことを……。

  • 第四局「服」の流れでトリプルファイヤー吉田さんが無地の真っ白なパーカーを着ていて「そんな真っ白な(潔いほどに特徴のない)パーカー見たことない」といじられて盛り上がったんですが(吉田「代官山で1万5千円で買いました」)、パーカー以上に特徴のない無地の白いトレーナーを着ていた後藤さんがエンディングで「白いパーカーがいじられてるときいたたまれなかった」と
  • 共感詩のあとの署名、後藤さん、フルネームで書くんだなーって(「麒麟川島」「トリプルファイヤー吉田」と比べて)思いました。
  • なにか告知ある人〜、と言われて後藤さん、しっかりと5/20銀座博品館劇場でやるジャルジャル単独ライブのチケットが現在発売中であると告知!わたしこの2年間、できるだけ都内のジャルジャル出演イベントを見てきたけど、こんなに具体的な告知してるの初めて見たよ!成長したね……おばちゃん嬉しいよ……。告知なきもの芸人にあらず!(©バッファロー吾郎Aさん)
  • どの局を去るときも後藤さんは誰より最後まで深々とお辞儀していました。エンディングでは麒麟川島さんと並んだ後藤さん、この吉本の2人が誰よりも深く長く頭を下げていたのですが、出演者たちがおのおの袖にはけていく頃に後藤さんがいったん頭を上げかけるも、隣の川島さんがまだ頭を上げてないのを確認して下げ直す(か わ い い !)。やっと川島さんが頭を上げて袖にはけようとするので後藤さんもそれについていくと、袖に入る前にも再び軽く客席に礼をした川島さん。後藤さんも礼。……この育ち良い芸人2人……!

ひとまずこんなところです!