わーい、行ってきましたー!京都の紅葉も素晴らしかった〜。
…………嘘!
行ってません。24日は仕事でした。世間でいうところの三連休はみっちり働きました、ありがたいことにとても忙しかったですピースピース!(疲れてむしろハイ)
だのになぜこのエントリを上げているかといいますと。
昨日、私のケータイ(いいえ、PHS)に、西に住む友だちの「きさ」さん*1からメールが届いたんですけど、そのメールを仕事帰りの電車の中で見た私は、「えっ」と小さく声に出して驚いたあと、まもなく、ぼたぼたと涙をこぼしました。だって、3通に渡る、京大マッハのレポートなんだもの……!
私に知らせるためだけにイベントのレポートを書いてくれたなんて……そして初めてマッハを観た彼女が(私がマッハを観たときと同じように)興奮しているのがわかって……本当に本当に、本当に嬉しくて泣きました。
そんなふうに、素敵な友だちから素敵なメールをもらった素敵な出来事を自慢したいので、以下、きささんの許可を得てメール本文をほぼそのまま載せます。
ひろこさーん!こんにちは。 いきなりメールしてしまってすみません。(しかもすごい長文なので分けて送らせて頂きました。というか迷惑だったらごめんなさい!)
京大マッハ行ってきました!とっても楽しかったです。
ダースベイダーの曲*2でみなさん入場…いきなり会場が笑いに。
俳句っておもしろそう、でも難しそう…と思っていたのですが行ってみたら俳句っておもしろい!でもやっぱり難しい!と(笑) 難しいというか奥が深いですね。みなさんの評で景色がばーっと広がるのがとてもエキサイティングでしたが自分一人では全然そこまで読めないな、と。だからこそ句会が大事なんだなーと改めて思いました。
それから無季俳句についての白熱した議論が特に印象に残りました。ルールは必要だけどそれをかっこよく破ったときの凄さ、とか。「何か」力のある言葉があれば季語は必ずしも必要ではない、とか。例えば戦争の俳句で季語があっても悠長に雅を感じてる場合か!と、逆に白々しくなってしまうと。(たしか例にあがっていた句が「いつせいに柱の燃ゆる都かな」でした。) でもそれくらい求心力のある言葉になり得るのがやっぱり季語なんだ、というような話でした。
記憶を頼りに書いているのでちょっと違うふうになってしまっていたらすみません…!風邪引きでちょっと体調怪しかったのもありまして(汗) もう直接お話できたら!と思います。
いつもマッハの記事をブログにあげて下さるのが嬉しく楽しみでひろこさんのようには上手く書けませんがメールしてみました。選句用紙の写真も送りますね。読めますでしょうか…?もし読めないようでしたらまたちょっとずつでも文字起こししますので…!
はーい、バッチリ読めました!ので、選句用紙を↓のとおり書き起しました。*3
実際は縦書き、作者は出演者5人のいずれかです(作者は下方に追記しました)。
《選句用紙》
- まつげひとつ塗り込む糊や流行風邪
- 沢庵を律儀に齧る女かな
- 美術館いけにえ隠し銀杏散る
- 赤マント帝都の孤兒にラヂヲの寄付
- 明け方の川辺香りに鵙の贄
- コンパスの足取りでゆけ冬の恋
- 印象派腹は全員減っている
- 虫籠の虫生きている生きてる
- 寒晴や下敷きに髪逆立てて
- 蛮声を文字に起こして着ぶくれぬ
- 鴨そぼろ南蛮そばを茶髪と食う
- 小春日を蛮カラさんが逍遥す
- 巨き絵の次も大きな絵や冬日
- 来迎図のみなにマフラー配りたし
- 霜夜かなゼムクリップの銀の音
- りんご切るしおりのひもで八等分
- この人を見よ 人恋ひつ鰤(ぶり)を煮つ
- 忘れてた夢がたくさん鰯雲
- 京大に名乗り響けば時雨かな
- 充電式電池の白さ暮易し
- 冴えきって『虚航船団』第一章
- 都(東京都に理論上限らず)と
- 蛮カラな猫の尾立てり今朝の冬
- 美術館寒しますます卑猥である
- 冬天や蝶の形の蝶番
- 十秒眠る師走のヒノデ食堂で
- 鴨川に螺鈿のごとき冬日かな
- あんこうやテレビはきのう割れました
- コンパスの円よりまるく冬眠す
- 蛮勇持て板チョコも持て冬は恋
《きささん解説》
- 25は(他の4人が選んでいるので)いきなり作者がわかってしまいましたね。みなさんベタ褒めでさすが長嶋さんと思いました。
- 2は千野さんが「これって沢庵まるごと齧ってるわけではないよね」みたいなことを仰っていて会場も大ウケでした。堀本さんは「姿勢の良い女性が沢庵を齧ってるのを浮かべてその感じがいい」と。
- 7は印象派が動くか動かないかの話から藤野さんによる「美術館は腹が減る」「特に印象派は日本人が好きでたくさん見にくるからすごい混んでて大変で腹が減る」という自論がおかしかったです。
- 13は藤野さんの「巨き絵はすっごく大きい絵で大きな絵は普通に大きい絵」という解釈が面白かったです。
- 15はわたしは特選を付けましたがマッハの皆さんには付きすぎと言われておりました…(残念!)
- 20は「こういう、その辺にあるんだけどまだ取り上げられたことのないものを見つけてくるのが長嶋さんは上手いよね」という話に。
- 29は千野さんが「コンパスの円より丸いってことは立体だ、球になってるんだ」って仰っていてなるほどと思いました。
この辺はだいぶうろ覚えな感じではしょっているので申し訳ないです…もっとメモ取っておかなかったのが悔やまれます。
うはは、藤野さんの解釈、生で聞いてみたかったなあ。 お題は「蛮」っていう字だったのかな?それと「芸術」かなあ……。 いくつか意味を知りたい句もあるわね。22の句とか、どういうことなんじゃろう。 ところでどうでもいいですが4の句を書き起すとき「兒」という漢字の出し方がわからず「まろあかじ」で検索して「麿赤兒」という文字を調べ「兒」を取得したことを報告いたしますね。
とにかく、イベントが今回もとても面白かったらしいってことと、彼女が、マッハをいっぱい楽しんだっていうのがヒシヒシと伝わってきて、このメール、マッハズにも届けばいいのに……!ってモギモギしました。
いつかマッハを、東でも西でも、南でも北でもいいから、きささんとも一緒に観られるといいなあ。
追記
このエントリを見たきささんが、朝7時半頃に「結果も送ったんですが届いてなかったみたい」と改めて送ってくれました。これとほぼ同時刻(ほんと1〜2分の違い)で、友だちのまる子さん*4も作者一覧とお題、選句結果などを書き出したメールをくれました。ありがとうございます、みんな朝からどうかしてる!(褒めてます)
《作者一覧》
- まつげひとつ塗り込む糊や流行風邪 藤野可織
- 沢庵を律儀に齧る女かな 長嶋有
- 美術館いけにえ隠し銀杏散る 米光一成
- 赤マント帝都の孤兒にラヂヲの寄付 千野帽子
- 明け方の川辺香りに鵙の贄 堀本裕樹
- コンパスの足取りでゆけ冬の恋 長嶋有
- 印象派腹は全員減っている 千野帽子
- 虫籠の虫生きている生きてる 米光一成
- 寒晴や下敷きに髪逆立てて 堀本裕樹
- 蛮声を文字に起こして着ぶくれぬ 藤野可織
- 鴨そぼろ南蛮そばを茶髪と食う 米光一成
- 小春日を蛮カラさんが逍遥す 千野帽子
- 巨き絵の次も大きな絵や冬日 長嶋有
- 来迎図のみなにマフラー配りたし 藤野可織
- 霜夜かなゼムクリップの銀の音 堀本裕樹
- りんご切るしおりのひもで八等分 藤野可織
- この人を見よ 人恋ひつ鰤(ぶり)を煮つ 千野帽子
- 忘れてた夢がたくさん鰯雲 米光一成
- 京大に名乗り響けば時雨かな 堀本裕樹
- 充電式電池の白さ暮易し 長嶋有
- 冴えきって『虚航船団』第一章 千野帽子
- 都(東京都に理論上限らず)と 米光一成
- 蛮カラな猫の尾立てり今朝の冬 堀本裕樹
- 美術館寒しますます卑猥である 藤野可織
- 冬天や蝶の形の蝶番 長嶋有
- 十秒眠る師走のヒノデ食堂で 千野帽子
- 鴨川に螺鈿のごとき冬日かな 堀本裕樹
- あんこうやテレビはきのう割れました 藤野可織
- コンパスの円よりまるく冬眠す 米光一成
- 蛮勇持て板チョコも持て冬は恋 長嶋有
ええっ、30が長嶋さんって意外だったなー。 千野さんのヒノデ食堂の句は私、好きだなあ。 藤野さんの句が全部、なんか、すごい。このマッハ1回分の話を聞いただけでも藤野可織ワールドに惹かれる。 堀本さんは今回かわいい雰囲気の句が多いな。ぜひ解釈を聞きたいところ(自分が俳句の知識がまだないから読みきれないんだけど、堀本さんの句は意味を知るとほんとめちゃくちゃかっこいいことがわかる)。22は米光さんなのか……ちょっと米光さんこれどういうことなんでしょう。
《まる子さんのメールより》
お題は、前回トップの長嶋さんが「蛮」、千野さんが「アートしばり」、ゲストの藤野さんが「文房具しばり」、他自由題3句。
会場の得票一位は28番、二位は2番、三位は6番、逆選一位は22番でした。しかし、22番は逆選15、並選15と、選んだ人も多かったです。ここの選評で、無季句についての話がありました。
お、「アートしばり」ほぼ当たってた! 藤野さん会場選1位おめでとうございます。 長嶋さんは今回も強いのだなー。
というわけで皆様のおかげで、行ってないのにしっかりしたイベントレポートになりました、すごい!私もあなたもどうかしてる!(誇りに思っています)
*1:私の第一ナガシマフレンド。橋本愛に似てる(←この情報、必要?)(でも重要)。 http://d.hatena.ne.jp/hiloco/20111231#1325344767 ←この文中の「Kさん」とはきささんのこと。
*2:友だちのちよさんから補足。ダースベイダーの曲は栗コーダーカルテット版とのこと。脱力入場!
*3:ちなみにきささんのメールに「もし読めないようでしたらまたちょっとずつでも文字起こししますので」とありますが、かつて彼女と私は中日新聞/東京新聞のそれぞれの地域限定の長嶋有コラム(600字程)を書き起こしてケータイメールで交換したことがあるのです。愛は文字を起こす(「愛は地球を救う」の趣で)。
*4:東京にお住まいの読者仲間で、京大マッハ観るために京都へ行った人。