矢野顕子リサイタル2006

アッコちゃんに会うために、この日は自分でも集中力を感じるぐらい集中して仕事を片付けた。大江戸線に乗り込み、初めての勝どき駅へ。
駅を出るとまもなく海が見える。海のむこうにはレインボーブリッジ。昼間の熱がまだ残っていて、潮風がぬるく匂う。
第一生命ホールは客のことをよく考えている素晴らしいホールだ。2階席だったので心配していたが、どこからでもステージが遠くならないつくりになっていて嬉しい*1。ちなみに私は上手のステージ真上。ピアノを弾くアッコちゃんが顔を上げれば目が合いそうな席だった。

  • 1曲目の『BAKABON』。「これでいいのだ〜♪」とアッコちゃん。うれしい。仕事と暑さでくたびれた体にぬるいお湯をザバーッと浴びたみたい。気持ちがいい。気持ちがよくて、さっそくグワッと涙。歌が終わるまで拭かなかった
  • わりと早い時間にゲストの細野晴臣さん登場。細野さんとアッコちゃんで『冬越え』『香港ブルース』『終りの季節』を。大好きな『冬越え』を生で、しかもwithアッコちゃんで(しかも夏に)聴けるなんて!贅沢さに興奮して2階席から転げ落ちそう
  • 細野さんはアンコールにも登場してアッコちゃんと一緒に『相合傘』*2を歌ってくれた。ときどき、ピアノを弾くアッコちゃんと見つめあいながら歌う細野さん。にっこりほんわかラブソングの『相合傘』がよく似合うデュエット
  • 一番の見どころ(聴きどころ)は『ROSE GARDEN』*3だったかなぁ。この曲、子どもの頃にCDで聴いた限りでは、前衛的すぎて結構苦手だったんだけどね。 しかし今回、ピアノひとつでアッコちゃんが歌う『ROSE GARDEN』は、何かに憑りつかれているようで凄まじくて圧巻だった。 椅子に座ってるはずのアッコちゃんの 頭を振って両足でリズムをとる姿が、私の位置からは宙に浮いて踊っているようにも見えた。 どの動きも見逃してはいけない、どの音も聞き逃してはいけないと思っているのは私だけではなかったようで、私の両隣の方々も、1階席のお客さんもみんな微動だにせず、息を止めてステージを凝視しているのが 暗闇の中でもよくわかった
  • 病床に臥しているというレコーディング・エンジニアの吉野金次さんのお話。話自体は、ステージのボルテージを下げないためか それほど深刻なトーンではなかったのだけど、その直後に『GREENFIELDS』。イントロが聞こえた瞬間に、今から歌われる歌詞に アッコちゃんの本当の気持ちが読み取れた気がして、号泣
  • そして「清志郎さんを想って、」と言って弾きはじめた『ひとつだけ』。涙がとまらない

アッコちゃんのコンサートではいつも泣きっぱなしだ。うれしくて泣く。素晴らしくて泣く。気持ちが通じた気がして泣く。悲しい理由でない涙はシャワーのようで気持ちがいい。だから我慢しない。
いっぱい泣くとノドが渇く。そういうところも風呂あがりと似ていて好きだ。
ステージが終わり、清々しくノドが渇いたまま、潮風を匂いながら勝どき駅に向かった。

*1:第一生命ホール座席表:http://www.dai-ichi-seimei-hall.jp/seatplan/index.html

*2:ちなみに『相合傘』の曲紹介でアッコちゃんは、清水ミチコさんがこの曲で矢野顕子のモノマネをしていることを大絶賛し、「清水ミッチャンでおなじみの・・・いや、清水ミチコさんの、歌ですよね」と断言

*3:アルバム『ただいま。』収録