取り返しがつかない

今日の昼すぎ、出掛けに起こった地震で部屋の本棚からドサドサとモノが落ちた。
「これはいかん」と思って出かけるのをやめ、本棚の内部整理や転倒対策をしているうちにいつのまにか部屋の模様替えに取り掛かっていたのだった。
今までは、この細長い部屋の一番奥に、ベッドを横向きに置いていた。テトリスでいえば「長い棒を横に倒して収めたら、左右のブロックの都合もあって、ちょうど隙間なくぴったりはまった」という状態だ。
しかしテトリスなら隙間がないのはありがたいにしても、人間の生活において寝床のまわりに隙間がほとんどないというのは、あまりよろしいことではなかった。
掃除がしにくい。失くしものを見つけにくい。ベッドにいるかぎりは壁しか見ないので部屋の他の部分が視界に入らず、散らかっていてもあまり気にならない。
怠惰の構造とはテトリス長棒横倒しのことだ。そもそもあの長棒を横倒しにして使うこと自体、無計画人間のやることである。私はよくやる。だって要らないときに限って連続で落ちてきやがるんだもの、きゃつらは。
そういったわけで、ベッドの向きを90度回転させ、ベッドの横に細い通り道を隔てて本棚やパソコンラックを置いてみた。つまり二次元のテトリスなら両端の壁にそれぞれブロックをくっつけた(うち、右側は長棒を立てている)状態になったのだが、面倒なことに私の部屋は三次元で、本棚には高さがある。180cm。この高さ180cmが、たとえば地震などで転倒してみると、長さ180cmとなり、迷いなくベッドの腹部へ突っ込んでくることになる。
しかしベッドの新しい向きの都合上、本棚を便利な場所(=寝床のそば)に置こうとすれば、上記の危険とは常に隣り合わせということになり・・・ベッドの方向転換は早まったか。
ちなみにこの細長いワンルーム(10帖強)、北側に玄関とクローゼット、東側と南側がほぼ全面窓で、西側にはキッチンと、トイレや風呂場へのドアがあって、その残りが壁と呼べる部分になるのだか、これが幅2mもないのである。そして今、本棚を置いているのがこの幅2mの壁部だ。八方ふさがり、ここに極まれり。
今はベッドだけが端に寄せられ、本棚やパソコンラックやTVボードや座卓が所在なさげに部屋に点在している。テトリスなら穴だらけのままブロックが積み上がっていくのを茫然と見守っているようなものだ。
そして宙に浮いたパソコンラックからは電源も回線もみな抜かれている。こんな駄文を携帯電話へ打ち込んでいるあいだに、せめて元の配置へ戻せたかもしれない。
こんな時間じゃもう、取り返しがつかない。