ワカモレ

  • タコと春菊の唐揚げサラダ
  • 豚とゴボウの梅ジャム甘辛煮
  • ワカモレ
  • さつまいもの柚子ジャム煮
  • タコときゅうりわかめの酢の物
  • (ひじきごはん)
  • ビール(金沢百万石ビール)

 定時に帰りじたくをしていたら他部署の60代男性から業務の相談をされ、要件さえ聞けば3分で解決することの要件をなかなか言おうとしないから30分、話につきあった。わざわざ離れた部署のわたしのところまで来るということはもう自分の部署の誰にも相手にされていないんだろうな、と思うと切り捨てられず、話を聞いてしまったのが良くなかった。席に戻ると今度は自分の部署の、やる気があって無計画な上司に、未発表のどでかい作業をさらりと言われる。それ今週金曜までに終えてないとシステム動きませんよ……この1ヶ月、その業務についてはしつこいぐらいに「これ以上の作業はありませんね」と確認してきましたよね……とうんざりしつつ、いつ、誰と誰でその作業をやるかを一緒に考える。上司は開き直ったのか「システム止まっても誰も死なない」とか言い出して、ではあなたの責任で止めたらよろしいんじゃ……とは言わずにハハハと流して話を進める。わたしも結構な"休み最終日に家族総出で宿題やる"タイプだが、いまの部署の上司は全員、そういう人たちを揃えてきたかのように"登校日の朝に宿題をやってないことを明かす"タイプで、相対的に駆り出されるほうの親兄弟役になってばかりだ。21時40分に退勤。

 帰宅すると家主は台所でまだ料理をしていて、テーブルを見ると今日もごちそうが並んでいた。わたしの帰りが遅いとごちそうが増える。
 先日の来客時に鶏をマーマレードで炊いたものがとても好評だったので、以来わが家ではジャムをおかず料理でがんがん使うようになった。家主のお母様はジャム作りが趣味だそうで、短いスパンでいろんな味のジャムが大量に送られてくるのだ。家主もわたしもあまりパンを食べない。
 ワカモレはわたしが最近知った料理名で、友だちのインスタグラムでのごはん写真によく「○○、○○、○○、ワカモレ」と登場するのが気になっていた。それが何か調べず、台所の連絡ノートに「ワカモレ」と説明なしで書いておいたら、作ってくれた。具の多いアボカドディップだった。クリームチーズも入っていて、みじん切りの玉ねぎもシャキシャキと効いていて、えらいうまい。なんでもない火曜日の22時台の夕飯なのにトルティーヤチップスでそれをすくって食べた。タコと春菊の唐揚げも最高に最高においしかった。家主が、わたしは見ていない月9の福山雅治のドラマの1話のあらすじを全部話して聞かせてくれた。
 おかずばかりで腹いっぱいになる。ふと見ると炊飯器の電源がついていて、あ、ごはんも炊いてくれてたんだね気づかなかった、と開けるとひじきごはんだった。

 これだけのごちそうを食べておきながら、でもこれだけで今日が終わるのが悔しく、でも疲れて動けない。夕飯を終えてPS4をやろうとする家主に「ゲームやるの…?」と寝床から恨めしそうに言うと、家主はコントローラーを置いて、寝床にきた。背中をさすってくれるので背中をむけたまま泣く。さすっている手が止まる。家主が先に寝入った。