面白半分

  • プルコギ(豚モモうすぎり、ピーマン、しめじ、玉ねぎ、紫キャベツ)
  • もやしの中華びたし
  • 温豆腐にしめじとねぎの出汁あん
  • ピーマンの昔煮
  • ヱビスビール

 花の教室の近くの八百屋(肉や卵も売ってる)はタガを外さずにはいられない安さで、たとえ帰りに混雑駅を経由して電車を乗り継ぐとしても、己の可能性をすべて注ぎこんで買いあさってしまう。花の教室の帰りに寄るのだからその日に作った花束やアレンジメントなどをまず持っていて、加えて8人暮らしほどの肉や野菜を抱えてよたよたと帰る。可憐になりたい。安く買いたい。いっぱい食べたい。欲望は尽きない。
 ふざけて紫キャベツや紫玉ねぎも買った。自分が料理するなら買わなかっただろうし、はずかしいほど大荷物だというのに、ひと笑いとりたい一心の紫野菜である。キャベツも玉ねぎも重い。
 八百屋のおじさんに紫キャベツはふつうのキャベツとどう違うのか訊くと、ふつうのキャベツとなんら変わりないと答えたのでそれを鵜呑みにしてプルコギに投じたが、嘘っぱちであった。ツヤツヤの紫色でコーティングされている感じで、プルコギのたれに十数分つけこんでも、丁寧に炒めてもいっこうにしんなりせず、食べると主張強く口に残るかたさなのだ。しくじった。料理するのは自分じゃないからといって面白半分に変わった色の野菜を買うもんじゃない。