清涼剤

『これからお祈りにいきます』でウキウキしたままいそいそと読んでいた『八番筋カウンシル』だが、いっこうに進まない。関西の小さな町のさびれた商店街が舞台で、主人公らは30歳ではあるものの、登場人物には主人公の親や地元の年寄りが多く、老いと閉塞感がどーんと鎮座している作品なので、読み進めるごとに“どうでもいいし、どうにもできない事情”がじっとりとまとわりついてきて気が重くなる。すごいのは、年配のひとが同じ話を何度もするあの感じを文章で体験させられることかな。「またこの話か……」と主人公のように読み手の自分も辟易する。それが巧い演出だと頭で感心しながら、身に覚えがとてもあり憂鬱になるというか。
今回はいったん読むのやめようかな……と中盤あたりでグズグズしていたところ、だけど不意に“バッファロー吾郎の竹若の写真”という文字が出てきてエッと嬉しくなる。それで少し気持ちが軽くなって、読み続けられそうな気がした。そんなことでか。
津村小説は『ミュージック・ブレス・ユー!!』でもジャリズムが出てきたんだよなー。先日もインタビューで学天即と銀シャリをすばらしかったと言っていたし、なんだか津村さんの笑いの好みがわかってきたような。うふふ。