セブンカフェ

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セブンイレブンのコーヒーサービス『セブンカフェ』のCMがいいなあ。
こだわり豆の挽きたてドリップコーヒーを手軽にお召し上がりいただけますの説明とともに、さりげなく“セブンのサンドイッチと一緒にどうぞ”を場面で言ってるのもうまいけど、OLさんも、工事現場のみなさんも、公園を散歩するおじいちゃんも、会議中のみなさんも……“おいしいコーヒーを誰でもどんなシーンでも楽しんで”と言っているのが素敵だしよくできてると感心した。特に散歩中のおじいちゃんがターゲットになっているのは画期的。
たとえば缶コーヒーのCMなら、癒し系の女性が出てきたり世の理不尽さや己の不甲斐なさを描いたり大物使ってナンセンスギャグをやったりが定番で、まあ働く男性がターゲットだよね。働く、女性すらも立ち入る隙がない感じ。それはそれでいいと思うんだけど(缶コーヒーの味はたしかに働き盛りの男性が好む味、だとも思う)。
こだわり豆の挽きたてドリップコーヒーだから、女性にもおいしい。だけでなく、散歩中のおじいちゃんにもおいしい、としたのがやっぱりすごい。年配の方だっておいしいコーヒーを手軽に外で飲んでいいんだ。娘夫婦からお歳暮にもらったコーヒーギフトのAGFをロッキングチェアを揺らしながら飲む、あるいは、なに知ってるのか知らないけどいろいろ知ってる人が書斎でゴールドブレンド飲む、そういう室内だけの楽しみじゃないんだ、コーヒーでくつろぐことは。
セブンイレブンのCMは昔から、タレントに頼らず、商品サービスそのものの説明で勝負したり、新しいシーンの提案や新しいターゲットへの呼びかけをしたりするのが巧いなあと思って見ている。
印象に強いのは、私が小学生の頃に流れていた「読書の秋とセブンイレブン」というキャッチコピーのCMで、主婦がセブンイレブンで買ったせんべいや大福やショートケーキを食べながらいろんな本を読んで旦那の帰りを待つというもの。コンビニと読書、直接は関係ないのに“(読書しながらつまめる)お菓子を豊富に揃えてる”ことを示したのが見事だった。って、そう詳しく感心できたのはコレ書いてる今で、そのCM見てた小学生当時は「私もいろんなお菓子食べながら本読みたいなあ」だったんだけど。でも20年経っても忘れない。
それから、吉行和子さんによるセブンイレブンのお弁当のCMも「おっ」と思った。有名なタレントを使ってはいるけれども、いわゆる旬のタレントじゃなくて、その時すでにおばあちゃん役をやることが増えていた吉行和子さんがお弁当を買うっていうのが、避けられぬ現実を、なんでもないこと、むしろ新しい楽しみであるかのように描いているなあと。ローソン、ファミリーマート、サンクスなどの他のコンビニのCMで年配の方が主人公となるCMを私は思い出せないよ。
セブンイレブン。業界最大手で、事業の規模も別格ではあるのだろうけど、他のコンビニと比べて目線と視野が違うというか。なんだか国ひとつ作りそうな細やかさと壮大さがあって、奇をてらわぬ地続きの新しさを生み出している印象。セブンイレブンイトーヨーカドー、西武、そごうなども従える持株会社の名前が「セブン&アイ・ホールディングス」と“セブン”が先頭に来ているだけのことはあるなと思いますね。このへんはよくわからないまま書いていて、これ以上続かないので終わりにします。