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なにたべ、さとがえる

夕方まで仕事。終わって、『きのう何食べた?』7巻と『パタリロ!』87巻*1を買う。

きのう何食べた?(7) (モーニングKC)

きのう何食べた?(7) (モーニングKC)

なにたべの今回の表紙、これまでの淡い色から濃い色に変わったので「あら、第二部かしら」などと勝手に思う(読んでみるとやっぱり部構成とかではなかった)。2人の服装と“乾杯”からすると、クリスマスを意識した色なのかな(クリスマスに茶色の装いといえば、『赤毛のアン』の袖のふくらんだ茶色のドレスだな)。 帯に《記念日も誕生日もなんでもない日も家で乾杯。》《二人で作って食べよう、それだけで幸せ!》と書いてあって、でも2人は家でそんなに乾杯しないし(シロさんのポリシーで)、そんなに2人で作ってるわけじゃないよなあ。などとレジに行くまでいろいろ思った。帯文が作品に忠実でないのではとムキになりたいぐらいこの漫画が好きなのだ(本の帯って愛読者でなく通りすがりの人に向けてるからそれでいいんだけどね、と理解あるフリも一応した。すべて胸の内で、レジの前で)。
電車に乗りこみ、『きのう何食べた?』を読みはじめる。
失敗した。電車で読む巻ではなかった。こんな帰宅ラッシュに涙なんか流してませんよという顔で読み続けるのが大変だった。
部構成とかではなかったが、しかし第一部の終わりと第二部の始まりといいたい巻だ。そういえば6巻はやけに2人がラブラブで、シロさんの考え方がひらいていく様子に「これは」とトキメイたっけな。その希望が7巻で熟していってる。40代ゲイカップルが主人公の料理漫画、の7巻で話が動く。登場人物はみんな1巻から大人なのに、“成長”している。すごい、すごい。本当にすごい漫画だ。


住吉駅(初めて降りる)。『矢野顕子のさとがえるコンサート2012 〜清水ミチコとともに〜』@ティアラこうとう
※以下、ネタバレふんだんに。すみません。自慢したいし残しておきたい。



2台の向かい合うピアノ。はじめにアッコちゃんが登場。下手のピアノについて、『クリームシチュー』『ばらの花』『電話線』。
ミッチャン登場し上手のピアノに。W矢野顕子で『丘を越えて*2を。次の『変わるし』では、2人が間奏を弾きながら“雑談”。アッコちゃんが弾くピアノがスタインウェイ、ミッチャンが弾くピアノがベーゼンドルファーなんだそうで、「そちら(ベーゼンドルファー)のほうがお高いんじゃない?」「江東区のみなさまのおかげで立派なピアノを……」「血税ね」などとおちゃめに話してる。ワクワク!
いったんミッチャンがはけて、アッコちゃんが(お高いほうの)ベーゼンドルファーで『こんなところにいてはいけない』『胸が張り裂けそう』『ごはんができたよ』を(お高いと知ったからではないが、たしかにピアノの鳴りがよりふくよかになった気がした)。 『こんなところにいてはいけない』は、まさに1年前の私の背中をぐっと押してくれたなあと身の上を思い返し、昨年に比べてずっと健やかな状況でさとがえるに来れている自分を祝った。歌詞は糸井重里矢野顕子の共作だが、私はこの歌詞に糸井さんの中の吉本隆明イズムを感じている。
ふたたびミッチャン登場。ネットで募集したモノマネリクエストの集計を見ながら、これはどうかこれはなんだと盛り上がる2人。その中に「2人でももいろクローバーZを」とのリクエストがあったらしく、ミッチャン「あのー、好きな有名人を訊くアンケートじゃないんで」と。しかしここで、(当然)ももクロを知らないアッコちゃんにミッチャンが「面白い子たちなんですよ」といってももクロのエピソードを話した。「仕事で一緒になったとき、楽屋でももクロが『本番緊張するねー、緊張するからバク転しよう!』って言いだして、全員でいきなりバク転を始めたんです」 会場は爆笑。私は感心した。2012年、さまざまな場面で「ここでも彼女たちの名が」と驚き続けてきたが、ついに矢野顕子のコンサートにまでエピソード付きで登場するとは。降参だ。
ももクロは(当然)やらず、リクエストにあった安田祥子由紀さおりの『トルコ行進曲』をアッコちゃんが「これならできるんじゃなーい?」と言い、2人が即興でティアララルンとハモり歌い出す。即興なのにピアノ伴奏もあって完成度高く、かなり長く歌い続けていて圧巻だった。
ほか、ユーミンの『卒業写真』を、アッコちゃんの荒井由美マネとミッチャンの松任谷由実マネで歌い分けたり(松任谷時代のほうがねっとりしている)、アッコちゃんはケイト・ブッシュ嵐が丘』(恋のから騒ぎのアレ!)、ミッチャンがキャロル・キング『You've Got a Friend』をそれぞれモノマネで披露。 また、アッコちゃんがザ・ピーナッツ恋のフーガ』を、ミッチャンが左卜全老人と子供のポルカ』を同時に歌うという、これでもかこれでもかの大サービス。息ができなくなるほど笑う。 そして“やもり”で『風のブランコ』。ミッチャンの(あまりふざけてない)森山良子が素晴らしくて、笑うより聞き入ってしまう。
最後に2人で『いもむしごろごろ』、『相合傘』。ミッチャンは“初期の矢野顕子”を完コピ。清水ミチコという人が、矢野顕子を好きで好きでたまらないこと、呼吸するように矢野顕子を聴きこみ歌いこんできたということがまるで自分の記憶のようにバーンと飛び込んできて、胸にこみあげるものがあった。
アンコール。アッコちゃんが登場し『ラーメンたべたい』。これ、これ。そしてミッチャンも登場し、アッコちゃんの『Rose Garden』演奏をバックに「矢野顕子さんに各界の著名人からお祝いの言葉が届いております。ABC順にご紹介します」といってアグネス・チャン、安部譲二淡路恵子……と次々にモノマネを披露。出川哲朗えなりかずき真矢みき桃井かおり大竹しのぶもいたなあ。数えてなかったがアルファベット1文字につき2人以上はやってたので少なくとも50人は登場したと思う。清水ミチコを惜しみなく。Yで矢野顕子になり、本人と一緒に歌い始めたところで曲が終わってしまう。笑い声と大拍手。
最後は2人で『ひとつだけ』。ミッチャンは忌野清志郎の声で歌うのだけど、これが1人の声じゃない。矢野顕子忌野清志郎と、清水ミチコの3人で歌っているようだった。私だけかと思ったら周りからも鼻をすする音が聞こえてくる。悲しい気分のときも僕のことすぐに呼び出しておくれよ、ねえお願い。
曲が終わる。会場じゅうから力いっぱいの拍手が沸くが、私は拍手できなかった。止まらなくなった嗚咽を隠すのに必死だった。

*1:86巻までで買い止まってた。ちなみに最新刊は89巻だが、しかしここで一気に87・88・89をまとめ買うのは我慢する。ここまで1冊ずつ積み重ねてきたのに、ここにきて数巻まとめて買って遅れを取り戻すのは野暮な気がした。

*2:帰宅してアルバム『JAPANSE GIRL』のこの曲を聞き返すが、イントロの雰囲気が「成熟したSAKEROCK」というか、星野源のもてなし感を思わせる。何度も思ってきているが、改めて「系譜……!」と思った。