女教師は二度抱かれた

9500円ぶん働くのって、たいへんなこと。休みまでとってるんだから、面白くなかったら許さんゾ!という構えで観てきましたが。
すげえ許します。面白かったです。
一切の前情報を入れずに観たところ、「あらすじだけいえば下北沢で演りそうなんだけど…しっかりコクーンクオリティなのだなあ」というのが第一印象。そんで帰ってbunkamraサイトにある松尾さんの意気込み(?)を読んでみると、私が感じたことは松尾さんの思惑どおりだったらしくて、なんでか安心した。
私が最後に観た松尾作品が昨年の『キャバレー』だったんですけど、実はあれ、(私の知識経験不足が大きく影響して)あんまりピンとこなかったんですね。で、「売れてる人たちの舞台ってチケット高いなあ」とか、少し前までの自分なら軽蔑すらしそうな感想が湧いた。それをきっかけに*1舞台のチケットは極力取らないでいました。
たしかこの『女教師〜』は今年初めて観る芝居ではなかったかしら。開演前の緊張ったらなかった。自分が今日の舞台を気に入らなかったら、私は「すきなこと」から「観劇」をはずすことになるだろうか。惰性で続いた恋人との関係を一人で悩み、挙げ句別れを勝手に決心する女みたいな気持ちを抱えて幕開けを迎えた。
やっぱり別れない。私がほしいものを、この人は今もくれるんだわ、これからもきっと…!的な。そういう女の独り相撲を男は知らないで(もしくは知らないふりをして)、いつもどおりに、しかし前とは何かが変わった様子で生きていくわけですね。なんのはなしだったか。
大竹しのぶのバケモノぶりは、とても感心している余裕なんてないぐらいだった。あと「悪い人は誰もいなくて、ただみんな駄目なだけ」を燃料に加速がついていく泥沼加減がたまらないなー。コクーンの大きさと出演陣の豪華さがあったからまだ清々しかったけど、本田劇場なんかで劇団員だけでやってたら濃すぎて酸欠になってたかもしらん。
ところで山岸先生は二度も抱かれてました?そういう意味じゃない?

*1:正確にいえば『キャバレー』の4日前に観た『犯さん哉』で「人の金でやりたい放題やりやがって…実験は自己負担でやれ!」と怒りに近い感想が湧いて、そんな自分にショックを受けたりしていた