八日目の蝉

読了。

八日目の蝉

八日目の蝉

1日1日が丁寧に描かれているようで、ものすごいスピード感。彼女らを見逃してはならんと、本を読むのが遅い私でも息を止めて一気に読むしかなかった。
はじめに評判を聞いていたおかげで、いくらか冷静に読めた。というよりも、ラジオで聞いた角田光代ののんびりとした声を知らずにこれを読み始めていたら、これは物語であるというフィルターをかけるのを忘れて、自分の心はもっとかき乱されていたかもしれない。それでも、小説を読み慣れていないせいで、作品との距離の取り方がわからなくって、「なんでそんな気持ち、知ってるんだ」「どうして、そんな言葉が出てくるんだ」と何度も動揺してしまった。
内容に触れる感想は、今は書けない。いつか書くかもしれないし、いつものように書かないままかもしれないけど。書きたいというよりは語りたいな。お茶やお酒と一緒に流してもらえるような場所で、無責任に。
おともだちに角田光代作品をどっさり借りたのだ。月曜からの通勤も楽しみだ。

いくつか巡回

はてなダイアリーつうのは本当に便利ね。はてな歴5年にしていまだに思うよ。
いくつかの日記をまわって、絶賛してるのも、そうでないのも、いちいちありがたく読んだ。「みんなはどう思ったの?」って思うの、久しぶりだ。そんで、自分の日記に戻ってきてちょっとだけ書きたくなったので、書く。たいしたことじゃないけど。
336ページ。希和子が、薫を引き剥がされるときに放った言葉。これで嗚咽が止まらなくなって、本をふやかしてはいけないと思っていったん閉じた。
映画『マインド・ゲーム』のクライマックスでわんわん泣いたのを思い出した。主人公が、生きたくて、外の世界に向かってがむしゃらに走る途中、かつて彼が牛乳を苦手だったためにカルシウム不足で一瞬折れかける足の骨が、しかし実は彼の母親がちゃんとシチューに牛乳を入れていたため骨は頑丈であった、大丈夫、走れる、というギャグみたいなシーンが一瞬あって、あれにはまいった。
なんだか私は、そういう、母親の無意識なる「食べさせなきゃ」に弱いらしい。当たり前のように命に近くて、恐れ入る。