NODA・MAP第12回公演『ロープ』

NODA・MAPは初めて。今まで何度もその評判を聞き、興味を持ちながらも、チケットの(上席の)値段の高さと取りづらさを理由に「自分には縁がない」としていた。今回はお友だちにコクーンシートを譲っていただき、なんの予備知識もなく、出演者はりえちゃんとフジタツがいることだけを確認してお気楽に臨む。
おおお面白かったあ。純粋に、舞台装置や時空間の使い方、ストーリーの構成に驚いたり感心したりで非常に楽しめた。役者がみんなゴムボールのようにつねに跳ねているところとか、あのセリフ量なのに誰にも不安がないところとか、こだわりのあるナンセンスギャグとか、どれをとっても「お金の払い甲斐のある出来」で、名前を出して仕事をして成功して信頼を重ねていくってこういうことなんだなー、すげーなーと見当違いなところで感動しまくり。あと野田さんってあんなコミカルなヒトなんだ!ってびっくりした。
今回はコクーンシート(2階のサイド席)だったので、ステージ自体よりも“ステージと、それを観る客”という会場の空間を眺めていたといった感じ。それがむしろ私には良かった。芝居の後半が非常に重く、ステージと正面から向き合って観ていたら、終演後にさっさと立ち上がれなかったと思う。ステージの下手側が見切れる視界だからこそ「これはステージだ」と認識しながら観ていたので冷静でいられた。でもさすがに、兵士たちが妄信的に正義と使命を叫びながら殺戮を繰り返しているシーンは、やるせなさに涙が出た。
りえちゃんの声と滑舌は素晴らしくて驚いたなあ*1。映像で聞いてきた彼女の声とは全然違う、雄々しい声だった。嗄れてつぶれたような痛々しさはなくて、安定した太い声。
それから藤原竜也くんはたぶん初めて生で観たけど、評判どおり素晴らしくて美しかった。お友だちとも話したんだけど、先日まで漫画『DEATH NOTE』を、映画の配役をイメージしながら読んでいて(実際に映画版は観てません)、自分の中で「藤原竜也夜神月」になっていたので、この舞台での「己の正義感を疑わない」「人を殺める使命感を持つ」という役のハマりぶりが最高でした。じゅんさんの「僕はキラじゃない!」も嬉しかったです。映画版デスノが観たくなってきたや。
これで「ノダマップにぞっこん!」になったわけではないけど、観る前よりも興味は強くなりました。またご縁があればぜひに。

*1:なぜか今回のステージを観るまで私の中で「宮沢りえは舞台じゃマズい」という先入観があったのだけど、その理由は16年前に観た『ジプシー』(1991年7月〜8月 鳳蘭と共演。なぜ自分が観たのかは不明)での彼女に相当がっかりしていたからだった。16年前の彼女の印象を最後にしていたなんて私もひどいね。観てた私は9歳だよ。でも9歳に相当がっかりされる演技って、相当だよね。ところで91年ってサンタフェ出した年なんだね