推理小説 (河出文庫)

お借りしている『推理小説 (河出文庫)』を読み終わりました。(ありがとうございました!)
今朝からの外出予定が雷雨により午後へ延期されたので*1、コーヒーを淹れ、一気に読みました。


あれだけ夢中になって見たドラマだし、そのドラマの原作、いろんな先入観を持ってしまってる今、どうだろうか、でもカワイイ安藤がどんなふうに描かれているかは知りたい・・・と思って読み始めたんですけれども、その“先入観”がかえって良かったというか、一人で勝手にリンクに興奮したりどんでん返しにつまづいたりして、簡単に言うと「面白かった!」ということです。
読みやすいし、ドラマとは少し違う展開を見せているので、ドラマを楽しんだ方はぜひ読んでみるといいと思います。


ところで告白しますが、私はこの作品の著者を勝手に女性だと思い込んでいました。だけどさ、そう思ってた方は多いかもしれないヨネ。
思い込みの原因は、いつもドラマのエンドロールに流れる「原作『推理小説』・・・」のあとに続く作者の名前、の苗字を読めないためにとりあえず最後の「○○○」だけを目に焼き付けていたから。 「女性なのにこんな実験的で挑戦的なタイトルの作品を・・・すごい!えらい!ジェンダー!」と、伊藤由奈の怯えたような歌声の中でうっとり女性の時代を感じていたんですよ私は。
で、そのまま著者について確認しないまま『推理小説 (河出文庫)』を半分まで読んだところで「なんか・・・文体が女性らしくないぞ」「しかも小説というより、これもシナリオっぽい」と思って、表紙カバーの折りこまれたところにある著者プロフィールを見たら、秦建日子さんという男性のシナリオライターさんなんだそうでした。びっくり。「秦建日子って、あのヒゲのおじさんじゃん!」
いま、映画『チェケラッチョ!』の宣伝のためにしばしばテレビでも顔を拝見することがあったので、あの、男性だったのだな、と。すごいねー、多才。 あ、でもヒゲはやしてたかどうかの記憶は曖昧。秦さんの顔を思い出そうとすると全然関係ない江川達也さんの顔が出てくるぐらい曖昧。


「文体が男性的でシナリオっぽい」と感じたのは、叙述の、ちょっとしつこいぐらいの状況説明。思いついたこと、知ってることは全部書き並べたんじゃないかと思えるほど状況説明が具体的で*2それが男性的であり、「映像化を前提に書いているのかな?」と思わせたのでした。あと叙述の視点がたびたび切り替わるのもテレビっぽいと思った、けど、これに関しては巻末の解説で「一場面は一登場人物に固定」されているとあったので、私がぼんやり読んでいただけかも。
それから登場する女性が皆、美人だったりかわいかったりして、性的に軽く、それを武器にすらしている女性がいるあたり、男性の理想って感じ。 女性の、外見に関しては何度も美人であることが強調されているのに、人格に関しては深く知ることができないのも男性の目線だなぁと。セックスしても何考えてるのかわからないあたりが男性の思う“ミステリ”なんだろうか*3
や、これは批評とかではまったくなくて、普段から本を読んでいない私が、ドラマの影響で原作を読んで感じた単純な違和感を書いただけなので、どなたかの気に障ることがあったら申し訳ない。でもその違和感がむしろ興味深かったので私は読んで良かったと思ってます。


そう、原作の男性っぽさに違和感が出たのも、ドラマの脚本が女性だからかなぁ*4とか思ったりしてね。って、今調べてわかった後付けの理由だけどサ。ん、むしろドラマで安藤があれだけかわいく描かれたのは女性目線だったから?
いやしかし、ここまで原作のシナリオ要素が強いのに、よく原作に引き寄せられず11話ぶんに展開させたなぁ。素晴らしい。佐藤さんグッジョブ!ジェンダー

推理小説 (河出文庫)

推理小説 (河出文庫)

*1:自分一人だけのための予定って楽ちんだなぁ

*2:でもそれは“推理小説”として必要な要素なのかもしれない。一般的なミステリの性質を知らないのでそう思った

*3:わかったようなこと書いてるけど、書いてる自分が一番わかってない

*4:佐藤嗣麻子さん、という方。こっちは“子”がついてても女性ぞ!