日曜日の秘密基地

VIPルームゲストが立川志の輔さん。
3か月分の家計簿をつけながら聞いていた。
録音しておけば良かったな。

  • 寿限無』について。子どもは単に“長い言葉を言い合うおもしろさ”として受け入れられるけれども、大人になるとその先の面白さを感じることができる。「できるだけ子どもにめでたい人生を歩ませたい」という親の愛情と、人間の「どれも外せない」という深い欲。その欲の形態はいまも変わらない、たとえば“東京三菱UFJ銀行”のように
  • 子ども用に作られたアニメやヒーローものは、正義の味方と悪い奴のキャラクターが一貫している。 一方、老いるほどに落語が面白いと思えるのは、人間は善悪のどちらかに立っているわけではない、悪意がないから悪いことはしない とは限らないということなどを経験で知っているから。落語の中には「善良な人間だがおせっかいが過ぎて」だとか「目先の欲に溺れて」「悪だくみのはずが、相手のほうが一枚上手(うわて)」という話がよく出てきて、全面的に憎むべき人間は出てこない
  • 話芸は日本だからこそ根付いている芸風。それは日本人が腹の中とは違うことを顔や言葉に出せる、ウラオモテを持てる人種だから。そして呼称だけで相手との関係性や本人の身分がわかるから
  • 劇団員、広告代理店勤務を経て27歳で談志門下に入ったという志の輔さん。 談志師匠が自分の履歴書をひととおり見て言った言葉が忘れられないぐらい嬉しかったとか。「役者やってうまくいかなくて、勤め人やってうまくいかなくて、それでここに来たのか。・・・・・・そんならそのへんうろついてな」

うろおぼ。えっとね、もっといろいろ話してたんだけどな。
ああそうだ、トーク中に伊集院さんが落語の「芝浜」や「猫の皿」のあらすじをサラッと説明することがあったんだけど(字数にして80字〜100字程度で)、その要約ぶりが見事だと志の輔さんに褒められていて伊集院さんが照れていたのね。それが嬉しかった。


志の輔の落語は私の食わず嫌いで*1ほとんど聞いたことがなかったんだけれども、今日の話ぶりでね、ご本人はすごく無邪気で素直で強い人だなぁという印象になった。27歳になって道を変えたところとか。
トークもアシスタントの川田アナそっちのけで、飲み屋で話しているみたいで良かったなぁ。
このVIPルームに落語家のゲストが来ると一層面白いのは、もちろん伊集院さんが元落語家だったという経験によって深い事情まで話が聞ける、というのもあるんだけど、こう、その道を断念した者として・・・・・・落語の落伍者*2であることが、相対的に“成功者”へのスポットライトの光を強くして、それでゲストが気持ち良くなってあれこれ兄貴な気持ちで*3語ってるから、傍からは“飲み屋の会話”に聞こえて面白いんだろうなぁ、って思うのね。「俺だっておんなじように悩んでたぜ、でもそんときさ」っていうね。挫折や苦悩の経験は共感してくれる人にこそ語ってはじめて昇華するものだと思うし。
それに現役の同業者だと話せなくても、別の道にいる人だからこそ明かせる気持ちがあると思う。ヘンにひねくれたり見栄張ったりしないでさ出方を窺ったりしなくていいし、語りながら自分を客観的に見つめなおせるというか。


で、伊集院さんがゲストに対して「自分は一度挫折した人間だから・・・」という姿勢をとっても卑しくならないのは、現実、伊集院さんがラジオ界の成功者だからであって、伊集院さん自身がVIPルームのテーマとなる人だからだと思う。いや、38歳なんでまーだまだ展開する余地は充分にあるんだけれどもね。つて、なに超えらそう私。
でも、各々の道での成功者が対峙すると、お互いが素直にお互いのヒントを授かろうとする。
その光景*4が素敵だなぁって、このコーナーを聴くたびに感じます。

*1:なんでもソツなくこなせる器用なイメージがあったから

*2:言いたかっただけなんだよぅぉぉぅ

*3:実際、現役のころは兄弟関係に近いものがあったとは思いますが

*4:音だけのラジオだから“光景”じゃおかしいけれど、でも私の目にはその“光景”が浮かんでる