イッセー尾形のとまらない生活2005年ベルリン版

イッセー尾形のとまらない生活2005年ベルリン版

  • 於 原宿クエストホール/3月25日(金)
  1. 津山ひろしラストステージ
  2. 青空労組活動*1
  3. ひとみちゃん
  4. ゴースケ
  5. ミッドナイトムービング
  6. 駐車場
  7. チェロを弾く女*2

3月20日、21日とベルリンで披露してきた演目を、ほぼそのままの構成で原宿クエストに持ってきたとのこと。ドイツ公演ではイッセーさんの芝居とメレット・ベッカーさんたちの演奏を融合させた舞台だったんだそうで、原宿公演にメレットさんたちはいないものの、芝居の中では音楽を使った演出もいくつかあった。この日披露したネタのうち7はクエスト公演だけのアンコール。すべて再演らしい。気になる方は収録ビデオ・DVDを探してみてください。


『駐車場』を生で観られたのには感動したな〜。おそらく私がイッセー尾形を初めて認識したのがこの『駐車場』で、小学生の頃、姉が借りてきたビデオを一緒に見ていて衝撃を受けたんだった。 よくこんなんで会社員やってられるなぁとか笑えてくっだらないけど、哀しいんだよね。 で、子どもって「哀しい」っていう感情をまだ持ってないじゃない。「せつない」とか「やるせない」とか。そういう たそがれた感情を、私はイッセー作品から学んでいったのかもしれない。 ちなみにこの『駐車場』も、私は中学生時にノートに書き起こしています。感動表現が「書き起こし」という基本は今も変わりません。
そんな書き起こしまでするほど熱心に見た『駐車場』、初演は'89年ということで、きっと私が何度も見返したビデオもその頃の映像だったと思う。 今回 3列目ど真ん中から見た舞台の上のイッセーさん、歳とったな〜と思えてしまった。ビデオで見ていた山ちゃん*3のギトギト感があまりないの。なんというか、イッセーさん自身、山ちゃんのいい加減さが似合わない年齢になったのか、ネタの設定に時代を感じるのか。映像だと違和感を感じない時代設定でも、生で観ると敏感になったりするもんね。 あ、けして否定的な評価ではないです。作品の面白さはあのままでした。哀しさも。


『ゴースケ』は初めて観たんだけど、すっごい面白かったな〜。そうそう、これこそイッセーさんの今の年齢に合ってる作品だと思う。入社1週間で「会社を辞めたい」と言い出す息子を説得する父。「辞めたい理由はなんだ?・・・・・・すごく、重いものを持たされたのか?」とか、超過保護な父親なのがこれまた哀しい。 移動するとBGMの音量が変わったり、流れてくる歌に合わせてヤケになった父親が歌いだしたりと 音楽の演出に凝っていた。
『ミッドナイトムービング』も初見。珍しくブラックな作品だった。真夜中に呼び出された引越し屋のバイトの兄ちゃん、行った先には母と子が、運んでほしいと依頼されたのは布団でぐるぐる巻きにされた・・・(以下略)。 携帯電話が出てきたりしていたのでおそらく最近の作品だと思う。収録DVDを探してみようっと。


『駐車場』まで演り終えて、いったん素になったイッセーさん、第一声が満面の笑みで「わー、日本人見たの久しぶり!」なんと2日前の23日に帰国したばかりなんだそうな。うふふ、かわいいおじさんだな。おかえりなさーい、だよ。
映画『トニー滝谷』や『太陽』が世界で評価されてるけど、それら芸術作品と このステージで見せる“くだらない哀愁”の触れ幅が、じかにイッセーを楽しめる日本人は嬉しいんだよね。

*1:仮名・正しいタイトルを誰か教えてください

*2:・・・だと思うけど、昨年末に披露された『チェロを弾く女』とは登場人物の年齢性格が若干変わっていたようにも。気のせい?

*3:『駐車場』の登場人物